湘南ゼミナール 東京都公立高校受験情報

2025年度東京都公立高校入試分析資料

英語

難易度は例年並み。読み飛ばしをせずに素早く読解する力が求められる問題構成。
大問2の問3(2)は12点満点。他は各4点。

大問1:リスニング 
問題A・Bともに英検3級程度の単語力が必要。問題A:対話文(1)~(3)では指示代名詞の代替先がどの話題の単語を指しているかを正確に把握する必要がある。各Questionで使用されている主語・動詞を手掛かりにすれば正確に聴きとれる。問題B:Question1・ 2は場所・行動を把握する問題。Question1では「When」、Question2では”What~do”で聞かれていることから「誰がどうする」の形式で答える必要がある。書きすぎないように注意。

大問2:表読み取り
問1Aでは登場人物の要望の把握が必要。Bでは駅と路線の把握・時間の都合の把握が行間上で必要。空欄Bの直前Akariの発言に注目。
問2Aではイベント後のスケジュール、Bでは”a music class”で行われる可能性が高い活動を選ぶ。
問3(1) Lucyの行動・感想ごとにあっている内容を選ぶ。(2)の英作文記述では全体として「まとまり」のある内容に仕上げるために、空欄箇所の前後に注目し使用語句を判断する必要がある。

大問3:対話文
傍線を中心に各問が設定されており、傍線前後の文脈を素早くとらえる必要がある。
問2・4は人物の理由把握。問3は同義説明。問1・5は指示代名詞の内容判別。問6は単語の穴埋め。問3の根拠の内容と重複するためOliviaが何から学んでいるかに注目。
問7は内容を要約する穴埋め問題。Aでは「だれが何をするか」を正確に把握するする必要あり。Bでは本文の中で近似性が極めて高い表現があることに注目。

大問4:物語読解文
段落ごとにいつ・どこで・誰が・何をするを把握して解く問題。
問1は下線部の内容一致問題。指示代名詞を正確に把握する必要あり。
問2は並べ替えの内容一致問題。選択肢ア・ウが同じ段落内の出来事なので、事象のタイミングを正確に把握したい。
問3は内容一致の選択問題。各段落の内容や場面を正確に読み取りたい。
(1)美術館でKentoが何をしていたかを把握する。
(2)EmiがShotaに自宅で、どのようなアドバイスをしたかを把握する。
(3)”the local sports day”でShotaが誰に何をしたか、されたかを把握する 。
問4は内容一致の選択問題。
設問内に聞かれている箇所がどの段落で描かれているかを正確に探すことが重要。
(1)Emiがポスターを見せる場面は4段落目。「チャンス」について話している個所を見つける。
(2)Shotaの学びについている述べている場面は6段落目。彼の本質的な課題について言及している個所をみつける。

数学

全体として例年通りだが、やや易化と予想。
大問1の46点、ほかの各大問の問1で合計20点。合計66点を取りこぼさないことが重要。各大問の最後に応用問題が毎年出題されるのは例年の出題傾向通り。

大問1:小問集合・計算 
例年通り一行問題の5点×8問と作図の6点で合計46点満点。
昨年度出題された「資料の整理」が出題されず「確率」が出題された。2014年度入試から「資料の整理」と「確率」が交互に出題されており、2026年度入試は「資料の整理」が出題される可能性がある。作図は、点から等しい距離の基本問題だったため、難易度は易化したと思われる。

大問2:文字式の利用
(1)5点(2)7点の説明問題。問題から考察し、その応用問題を文字式を使って説明する問題。過去問や模擬試験での練習が必要な問題であった。今年度は規則性を見つける問題ではなく、文章から条件を読み解くことができれば難易度自体は高くない問題。

大問3:一次関数
(1)5点(2)①5点②5点
今年度は1次関数のみ、昨年度は放物線、一昨年度は一次関数と交互に繰り返しての出題。両方出題の年もあることから、放物線・直線どちらでも対応できる練習が必要。
(1)座標を求める問題で比較的易しい。
(2)①点の座標が定まって、その点から直線の式を求める問題。典型問題なので練習していれば比較的容易。②昨年同様、座標を文字で置き換えて、各座標の関係から面積の方程式を解く問題。

大問4:平面図形
(1)5点(2)①7点②5点
(1)円の角度についての問題で、ここ数年は文字式を用いて角度を表す問題が多い。直角二等辺三角形に気づければ容易。
(2)証明問題。三角形の合同の証明だが、いずれも教科書で扱うレベル。部分点が与えられるので、仮に全部がわからない場合でも、わかるところから書くことで、1点でも多く確保することができる。
(3)複雑な手順が必要な問題で、例年正答率の低い問題。ただし、問題集などでもよく見る面積比の問題である。訓練の必要あり。

大問5: 空間図形
(1)5点(2)5点 
(1)四角錐の体積。高さが中点連結定理でCDの1/2であることに気づければすぐ解くことができる。
(2)最後の問題としては、比較的易しめであった。三角形の面先を求める問題。求める三角形の三辺の長さがわかればすぐに出せる。

応用問題に関しては、他県の入試問題、私立の入試問題、東京の共通問題の過去問などを、しっかり解き直しまでできていることが重要である。

国語

難易度は例年並み。大問構成・配点に変化はなかった。

大問1
漢字の読みは昨年と同様、平易なものが多かったが(3)の「貢献」(5)の「喝采」の読み文は、やや難易度が高かった(漢検準2級レベル)。対策としては漢字検定3級程度の学力を養い、他県の過去に出題された漢字の書きを勉強しておくことが重要。

大問2
漢字の記述は全て小学生修了レベルのものが出題された。読みと同様に、漢字検定3級程度の学力を養い、他県の過去に出題された漢字の書きを勉強しておくことが重要。

大問3
小説は、主人公のあおばがオオタカのヒナの巣立ちを見守る様子を描いた作品。読書感想画中央コンクールで小学校高学年の指定図書に選ばれているもので読みやすい。設問では「表現の特徴」「心情説明」「心情の理由」など例年通りの出題あり、難易度は例年並みであった。

大問4
論説文は、他者から学習をすること(社会的学習)で、高度かつ複雑な文化を生じさせる(累積的文化進化)ということを論じる文章であった。設問の根拠・答えが傍線部の直前直後にない問題もいくつか見られたため、抽象的な部分の読解を体例で補って読み進める力が求められた。例年通り二百字作文が出題されており、「文化を受け継ぎ発展させること」というテーマで自分の意見を発表させるものであった。

大問5
古典的随筆は例年通り。和歌と源氏物語に関する対話の一部が抜粋され、話者の意図や文章内容の理解が求められた。古典的な知識は一問も出題されず、読解力が試される大問だったといえる。都立の大問5は他県には見られない独特なものでるため、過去に出た問題を使った演習量が高得点の鍵になる。

都立国語は大問5の古典的随筆、大問4の二百字作文など他県には見られない独特な問題があるため、過去問や演習問題を通じた反復練習が不十分だと時間内に解き切ることが難しい。基礎的な読解力を身に付けたうえで、制限時間を意識した反復演習こなす必要がある。

理科

昨年度は大問6のみで出題された選択完答問題が、大問1以外の大問すべてに出題され、過年度とパターンが変わった。配点に関しては例年通り。漏れのないようにすべての範囲を網羅するような勉強の仕方が求められた。

大問1:小問集合
中2生物の人体、中3地学の天体、中1物理の光、中1化学の密度、中1物理の力、中3生物の遺伝、比較的易しい問題。

大問2:小問集合
中1生物の植物の分類、中3化学のイオン、中2地学の天気、中3物理の力
例年出題されるレポートに書かれている内容を知識と組み合わせて解く問題。設問から解答を導くことができるため、非常に解きやすい問題。テーマは植物の栽培。

大問3:中1地学の地層と岩石
問1 凝灰岩のでき方と堆積岩の名称 リード文を読まなくても答えが出せる知識問題。
問2 選択完答問題 火山岩の特徴について
問3 標高の関係を考える問題 リード文からそれぞれの地点の標高が読み取れれば容易に解ける問題。
問4 選択完答問題 泥岩が深いところ、砂岩が浅いところで堆積するという知識があれば容易に解ける問題。

大問4:中3生物
問1 細胞分裂にうすい塩酸を用いる理由と酢酸カーミン溶液の役割について。リード文を読まなくても知識だけで解ける問題。
問2 細胞分裂の順番の並び替えと各時期の染色体数に関する問題。リード文を読まなくても知識だけで解ける問題。
問3 選択完答問題 成長=細胞の数を増やして1つ1つが大きくなることという理解ができていれば容易に解ける問題。

大問5:中2化学 化学変化
問1 記述問題 気体を集める実験で初めに集めた気体を使わなかった理由を書かせる問題。実験で行う操作が何のためにあるのかを深く理解できていれば記述できる問題。
問2 酸化銀の過熱で熱分解が起こり酸素と銀が発生し残った銀の性質を選ぶ問題と、炭酸水素ナトリウムの熱分解で発生した炭酸ナトリウムの性質を選ぶ問題。リード文は長いが知識問題といえる。
問3 選択完答問題 溶解度に関する問題。実験で使用した水の量が5ℊであることに気づければ、水100ℊの溶解度から容易に算出できた。
問4 選択完答問題 原子のモデル図の問題。酸化銀の熱分解の化学反応式を覚えていれば解けた問題。

大問6:中2物理 電力・磁界
問1 選択完答問題 電力量の計算式 電力(=電圧×電流)×時間で容易に答えが導き出せる問題。
問2 磁界の向きを考える問題 右ねじの法則で解く問題。
問3 整流子の問題 整流子の働きを覚えていれば解ける問題。
問4 記述問題 抵抗器を並列につないだ場合の流れる電流の大きさと、コイルに流れる電流が磁界から受ける力の大きさの問題。

社会

おおむね例年通り。大問6の問3で円グラフを使用しているが、事象の背景を踏まえて解く方向性は東京都入試の特徴と言える。

大問1:小問集合
問1 例年どおりの写真撮影の場所を問う問題。
問2 行動から人物の特定を行う問題。
問3 財政に関する問題。依存財源の種類を説明から判別する。

大問2:世界地理
問1 説明を読み解き、気候グラフを判別する問題。「年間を通して高温」「雨季」「黄麻」のワードに注目。
問2 文章と地図の説明選択問題。自動車の一人当たりの保有台数、国別の状況に注目。
問3 文章と地図・資料読み取り問題。航空機の生産についての基礎知識、EUでの動向を理解して解く。

大問3:日本地理
問1 説明選択問題。各説明ごとの地形情報のキーワードに注目する。
問2 表と文章の資料読み取り問題。さくらんぼにかかわる情報・生産地の果実収穫量・収穫品目に注目する。
問3 資料読み取り記述問題。地図中に新たなインフラができるポイントを記述し、その効果を資料から読み解き具体的に記述する。

大問4:日本史
問1 古代の並び替え問題。キーワードをとらえ、それぞれの時代で朝廷や幕府がどこに置かれたのかをおさえておく必要がある。
問2 室町から江戸時代の文化史を問う問題。それぞれが何時代の文化かだけでなく、元禄文化と化政文化の判断も求められる。
問3 記述問題。何を聞かれているのか、条件は何なのかを正しく把握し、問題文に書いてあるポイントに注目することから根拠を捉えていく。
問4 時代把握問題。選択肢に書かれたキーワードが何年に起こった出来事なのかをつかむ。

大問5:公民
問1 社会権に関する条文問題。社会権で規定された権利とはどのようなものが分かっていれば比較的簡単に解ける。
問2 労働基準法に関する問題。その法律の内容を正しく把握していることが求められる。
問3 政府や日本銀行の景気対策に関する問題。資料から読み取れる経済状況が好景気か、不景気かを判断することから解き始める。今回は不景気を示しているので、そのような状態のとき、政府や日本銀行が一般的にどのような措置をとるのかを答える問題。
問4 記述問題。何を聞かれているのか、条件は何なのかを正しく把握し、問題文に書いてあるポイントに注目することから根拠を捉えていく。

大問6:融合問題 公民・地理
問1 食料の輸入にまつわる問題。地形・産品・輸入品目を捉えて正確に選択したい。
問2 文章とグラフの資料読み取り問題。Ⅱの説明文と照合してグラフの様態と説明にあった選択肢を選ぶ。
問3 人口と経済発展のバランスを世界の地域別で判断する問題。アフリカ州の「人口過多」「モノカルチャー経済に代表される発展途上性」を踏まえてグラフの差異に注目する。