湘南ゼミナール 埼玉県公立高校受験情報

2025年度埼玉県公立高校入試分析資料

英語

基礎的な文法の定着と正しい日本語訳の徹底

大問数、大問構成は例年通りだった。
大問1は、リスニング。出題傾向は昨年度と同様で、いつ・どこで・誰が・何を・どのようにといった内容を聞き取れたかが重要だった。

大問2は、適語句補充と自由英作文。曜日、単数名詞、副詞を正しく入れられるかが鍵となった。問3の作文も例年と同様で、一文目は和文英訳、二文目以降は、語群の中から一語使用して英作文を行う形式。基本文法の確認が必須だった。

大問3は、英文読解。出題傾向と配点は昨年度と同様だった。問2の適語句補充問題では、可算名詞・不可算名詞による熟語の使い分けと、前後の文章の日本語訳が正しくできたかどうかが重要だった。

大問4は、対話文読解。配点は昨年度と同様だが、問3の内容一致問題は、出題形式に多少変化があった。英文を読んで正しい組み合わせを選ぶ問題だったため、慣れない形式に苦戦した受験生もいたのではないだろうか。

大問5は、英文読解と自由英作文。出題傾向と配点は例年と同様だった。問1の適語補充問題では、本文とは表現が異なる部分もあったが、本文と共通の名詞・動詞を中心に読解を行うことで、書き抜くことができたと考えられる。問3の英作文は、傾向も昨年度と同様で、「図書館に漫画本はあるべきか、あるべきではないか」について選び、作文を3文以上で行うものだった。各々が持つ図書館・漫画本のイメージを理由とともに考えることで、書きやすい問題となったのではないだろうか。

教科書に載っている基礎的な文法を定着させておくことが非常に重要である。読解力とともに、日本語を英語へ訳す訓練を日々行ってほしい。

数学

幅広い知識が重要

大問数・大問構成は、例年通りだった。

大問1は、中学校で習う各単元の基礎的・基本的な知識や技能を問う問題が出題されたが、後半は難易度が高い問題が多かった。(12)の体積を求める問題では、平面として捉え、三平方の定理等を利用して高さを求める必要があった。(14)の斜線部分を求める問題でも、三平方の定理を利用するために補助線を引いて考える必要があった。(15)の整数問題では、最後に2つの自然数を答えるという条件を見落とさずに、しっかり解答できていたかがポイントだった。

大問2は、例年通り、作図と証明からの出題。作図は、例年より比較的取り組みやすかったのではないか。(2)の証明は、平行四辺形になることを証明する過程で、中点連結定理を利用することに気付けたかどうかで差がついた。

大問3は、規則性からの出題。ただ、学校選択問題と同じであったため、かなり難易度が高かった。特に(1)は、資料の数値だけを一見すると、隣の数との差が1ずつ増える階差数列のように見えるが、実際は、隣同士の和が次の数になっていることに気づけたかがポイントだった。問題文をしっかりと読んで規則性を見出さなければならなかった。

大問4は、関数が出題された。(1)は、式を求める問題であり、確実に得点したい問題だった。(2)は、面積が同じという条件からPのX座標を文字で置き、どのように立式するかがポイントであった。

今年度は、昨年度より若干難化したのではないか。特に、確実に正答できる問題と難易度の高い問題の取捨が大きなポイントだった。

国語

昨年度よりやや易化。基本の読解と時間配分が鍵

大問数・大問構成は例年通りだった。

大問1は、小説の読解。選択肢の問題では人物の様子を問うものと、心情の理由を問うものだった。記述の問題は、心情の理由を問うものと、行動の理由を問うものだった。普段から、心情が直接書かれている部分や、人物の行動、会話文から心情を捉える練習をするとともに、なぜその心情になったのか、きっかけとなる出来事を探して読む訓練が効果的だ。

大問2は、文法の問題が対話文問題の中に含まれる形となった。動詞の活用形と敬語の知識が問われた。動詞の活用形では、接続する言葉だけでなく、変化のパターンを覚えていないと識別できない選択肢もあった。動詞の出題頻度は高いので、接続する言葉と各活用の種類の変化のパターンをしっかり覚えよう。敬語の知識では、特別な言い回しの尊敬語と謙譲語を覚えておくことが求められた。

大問3は、論説文の読解。例年よりも読みやすい文章であったため、若干易化したと思われる。問1は、例年通り、段落の内容が正しく読み取れているかを問う問題。それ以外は、筆者の考えやそう考える理由を問う問題だった。埼玉県でよく問われる、問題提起と対比構造が絡む問題だった。問題提起が出てきたらその答えをまとめる練習と、対比構造が出てきたらお互いの違う点をまとめる練習が効果的だ。

大問4は、古文の読解。『古今著聞集』からの出典で、昨年度から引き続き、和歌の内容理解が求められる本文だった。古文の読解は、基本に忠実に、歴史的仮名遣いを直すルールを徹底すること、主語を確認して読むことを心がけよう。

大問5は、作文。食品ロスの発生要因の内訳を表すグラフを読み取り、体験と意見をまとめるものだった。過去問等を使い、資料読み取り、体験、意見の順で書き上げる練習を重ねよう。

難易度として、どの大問もしっかりと得点に結び付けたいものだったため、50分の中での時間配分を決めて練習を重ねることが重要だ。

理科

教科書の細部を読み込み、深い知識の定着を

全体的な構成・配点・出題傾向に大きく変化はなかった。

大問1は、例年通りの小問集合であった。各分野における基本的な知識が身に付いているかが問われた。

大問2は、地学分野から大地の変化について出題された。震度の最小値と最大値、海溝や海嶺など、深い知識の定着が鍵となった。また、問3は、震央の位置を推定して答える問題。見慣れぬ形式の問題ではあったが、観測地点までの距離と初期微動継続時間は比例の関係にあることに注目し、作図できるかがポイントであった。

大問3は、生物分野から微生物の分類と分解者について出題された。微生物の分類に加え、実験の操作の理由、実験結果をふまえて答える問題など、本質的な理解が問われた。また、条件語句を用いた記述もあり、表現力も問われた。

大問4は、化学分野から密度について出題された。メスシリンダーの目盛りの読み取りや、平易な計算問題をどれだけ解答できるかが重要であった。問4は、実験結果について述べられたものから、正しい選択肢を全て選ぶ問題。実験結果と選択肢、双方をきちんと読み取り選べるかがポイントとなった。

大問5は、物理分野から電流と磁界について出題された。問1は、電熱線の抵抗の計算、問2は、コイルのまわりの方位磁針のさす向き、問3は、電流がつくる磁界の説明と、基本的な知識が身に付いているかが問われた。

全体的には比較的平易だったと感じるが、教科書の細部を読み込み、深い知識の定着が鍵となった。

社会

正確な資料読み取りと体系的な学習を

大問数・大問構成は例年通り。

大問1の世界地理で、問1は、生活や暮らしぶりを問う問題であり、問われている地域間の距離が離れているため、昨年度に比べて正解しやすかったと言える。また、問3のグラフから読み取れることを書く問題は、資料に書いてあることを言語化できることが問われている。

大問2の日本地理の 問3は、2年ぶりの形式に戻った。他県の情報をヒントに工業・農業の確かな知識が必要となる問題であった。また、問5の地形図と写真から地点を選ぶ問題の傾向は、今後も続く可能性がある。

大問3は、時代判別をしっかりと理解していることが正解への鍵。問1で、朝貢とは何かを問われている問題が出題された。ただの知識によるものではなく、単語の本質的な理解を問われている問題であった。

大問4は、昨年度から並べ替えの出題がなくなり、2年連続でステップチャートを完成させる問題が出題された。因果関係を理解していれば正解できた問題であった。問5の日本経済の様子を問う問題は、他の選択肢の時代背景の理解が必要と言える。

大問5の公民では、問2で衆議院の優越をすべて選ぶ問題が出題された。正確な知識と選択肢を正確に読めているかが鍵となった。問5では、市場経済における価格の決まり方に関する問題が出題された。需要曲線と供給曲線のどちらがどの方向にシフトするのかを問われ、資料を元に必要語句を用いて説明できるかが問われた。

大問6の問4では、持続可能な漁業の実現のための取り組みとその結果を問う問題が出題された。会話文と資料をもとに、取り組みの内容とその成果を読み取り、記述する問題の形式は、ここ4年連続で同じ形式の問題である。また、並び替えの問題が削減され、資料に示された時代の様子を選ぶ問題に変わった。教科書の文言だけでなく、資料にもしっかりと目を通したい。

学校選択問題<英語>

配点に変更あり。昨年度より易化。時間管理を徹底し最後まで解ききれるかどうかがカギ

大問数・大問構成は例年通りだが、配点に変更があった。大問2が32点になり小問が1問増え、大問3が30点になり1問減った。

大問1は、リスニング。出題形式は例年通りだった。1回目で答えを出し、2回目に他の大問に取り組めるかどうかが鍵になる。また、No.6、No.7は事前準備が重要であった。

大問2は、対話文読解。出題形式は例年通りだったが問題数が増加したので、時間をどう設定するかが最初のポイントになった。問3の英問英答は、例年出題されるが、解答を本文からそのまま写すことができないので、主語・動詞の設定が自分でできるかどうかがカギ。この問題の難易度は高かった。問5は in the future の副詞句が文頭に来ているため、未来形で書けるかどうかが、正答できるかの分かれ目になりそうだ。問8の適語句補充は、仮定法が出題された。直前の文からtakeが入ることは想像がつくので、時制を過去にできるかどうかだが、wishが与えられているので比較的平易であった。

大問3は、長文読解。出題形式は、問6の適語句補充が1問となり、2017年度入試、すなわち学校選択問題になった初年度と同じ内容一致が出題された。さらに、日本語記述問題がなくなり、適語句補充となったことで、難易度が下がったと思われる。文章のテーマが割り箸についてであり、単語も想像がつきやすいものが多かったため、昨年度の長文読解と比べると読みやすかったと思われる。問いの内容を先に把握し、効率よく解答できるかどうかが重要であった。

大問4は、自由英作文。出題形式は例年通り。今回のテーマは、「将来、中古品を買う人が増えると思うか」について。比較的書きやすい作文であったので、例年よりも、内容の精度で減点されることが多くなりそうだ。

全体的に、昨年度と比べて解きやすくなった問題が増え、易化と言える。
大問2と大問3の両方でtakeという動詞が出ていることから、複数の意味を持つ動詞の使い方について学ぶことが、学校選択問題攻略において鍵になる。

学校選択問題<数学>

本質的な理解が重要

大問の構成や配点は、ほぼ例年通りであった。

大問1は、例年通りの小問集合だが、比較的得点しやすい問題が多かった。簡単な問題と手順が多い問題が明確に分かれているので、得点しやすい問題を確実に正解できるかが鍵。

大問2は、(1)で作図、(2)で証明という構成。作図は、図形の定理の深い理解を問われる問題であった。証明は、中点連結定理を用いながら平行四辺形を証明していくもので、比較的取り組みやすく、確実に得点していきたい。

大問3は、規則性が出題された。 (1)(2)では、会話文から操作の手順を理解し、自ら手を動かしてみることで確実に得点を重ねたい。(3)の難易度が高いため、 (1)(2)の問題の中でヒントをつかむことが重要だった。

大問4は、関数が出題された。3問とも解法が見つけやすい問題であった。(2)の回転体の体積を求める問題は、過去にも何度か類似問題が出題されており、確実に得点したい問題である。(3)は媒介変数を使用する問題だが、計算が少し複雑だったので、計算ミスに気を付けながら解き進めたい問題であった。

大問5は、空間図形が出題された。(1)では、与えられた条件から、引いた補助線が直径であることに気付く必要があった。 (2)では、空間を平面で捉え、条件から正確に平面図形を描くことができるかどうかを問われていた。その上で、桁数の多い計算処理も求められた。

今年度は、比較的得点しやすい問題も多かったので、正答できる問題を確実に得点できるかを試される問題になったと言える。