湘南ゼミナール 神奈川県公立高校受験情報

2023年度公立高校入試 特色検査「共通問題」分析資料

問1・問2

問題の概要

複数文の素早い読解力が求められる、英語・国語の文章題

昨年同様に大問2題の構成で、問1は英語で記述された2つの会話文と1つの発表原稿、問2は日本語で記述された2つの説明文を題材にした出題であった。
問1は、「ハイブリッドカー」や「電気自動車」をテーマにしたもので、昨年同様に複数の文章からの出題であった。設問は、ほぼ例年通りの形式のものであったが、(ア)の計算問題にてこずった受験生はやや多くいたのではないか。
問2は、「蛍」をテーマにしたもので、2つの説明文から構成されている。設問の(ウ)はプログラミングと箱ひげ図を組み合わせた出題があり、昨年も見られた本文に依拠しない問題であった。

設問の特徴

「科目横断」要素を含む出題

ページ数・問題数に関しては、問1が4ページで5問、問2が6ページで5問の出題をしており、概ね昨年に近い分量であった。
問1は、計算要素が含まれる問題、英文内容を読み取り日本地図から適した県を選択する問題が出題された。
問2は、俳句やプログラミングと箱ひげ図、理科の生物を題材にした出題がされるなど、科目を横断した総合的な理解力が求められた。これらの傾向は昨年同様であったが、(オ)では、2つの文章からわかったことをまとめた一文として、ふさわしくないものを選択させる出題があり、内容としては過去にも出題はあるが、形式としてやや目新しさがあるものであった。
そのためにもじっくり長文を読まなくても設問処理をしていける、特色検査に応じた長文問題の読み方、解き方を身に付けたい。
なお、各設問の難易度は決して高くはないが、時間プレッシャーと5科ではなかなか出会わない題材の登場によって、本来以上に難易度を高く感じてしまったと考えられる。
しかしながら、ベースになっているのは中学校指導範囲の9教科の知識、考え方である。常日頃の学習を怠らないことが、特色検査攻略の第一歩であり王道である。

取り組むにあたって意識すること

時間を意識した「特色検査」という問題の解き方

科目としての「英語」や「国語」の力はもちろんだが、特色検査で求められるのは、いかに効率よく かつ正しく情報を得て、編集し、解答を作るかという点にある。
60分で4題を解くためには、単純計算をしても1つの大問に割り当てられる時間は15分程度である。後半のより難度の高い問題や最後の見直しの時間を考慮するならば、理想としては12~13分で解ききりたい。
そのためにも、じっくり長文を読まなくても設問処理をしていける、特色検査に応じた長文問題の読み方、解き方を身に付けたい。
なお、各設問の難易度は決して高くはないが、時間プレッシャーと5教科ではなかなか出会わない題材の登場によって、本来以上に難易度を高く感じさせてしまったと考えられる。
しかしながら、ベースになっているのは中学校指導範囲の9教科の知識、考え方である。常日頃の学習を怠らないことが、特色検査攻略の第一歩であり王道である。

問3~問7

問題の概要

多角的な思考を要するバラエティーのある出題

昨年同様に選択大問は5題で、この中から各校が2題を選択する形となった。
問3は、2人の生徒の「花火」を中心とした会話文の中から、国語・社会・数学の要素を用いた思考力を問う問題と、浮世絵の構図と位置関係を問う出題がなされた。
問4は、「論理と読解」というテーマを数式や回路図、方程式、規則性、場合の数という理系の題材を通して問う出題がなされた。
問5は、「論理」、「空間把握」、「反射」といったテーマを元にした、論理的思考力、数理処理を問う出題がなされた。
問6は、「ストロボ効果」、「パラボラアンテナ」、「身近にある食品としての物質」、「キッチンスケール」と多岐にわたる題材を用いた数学、理科の実力を問う出題がなされた。
問7は、「サンゴ礁と鉱山資源」を題材に文章、資料からの読み取る出題と、思考力を社会、理科の要素を用いて問う出題がなされた。

<各校の選択問題>
【横浜翠嵐高等学校】   問6・問7(昨年と同じ)
【柏陽高等学校】     問4・問5(昨年は問4・問6)
【湘南高等学校】     問3・問5(昨年と同じ) 【厚木高等学校】     問6・問7(昨年と同じ)
【川和高等学校】     問3・問4(昨年は問3・問5)
【希望ケ丘高等学校】   問3・問6(昨年と同じ)
【光陵高等学校】     問4・問6(昨年は問4・問7)
【横浜緑ケ丘高等学校】  問3・問6(昨年は問4・問6)
【多摩高等学校】     問4・問6(昨年と同じ)
【横須賀高等学校】    問3・問6(昨年は問4・問6)
【横浜国際高等学校(国際科)】問3・問4(昨年と同じ)
【茅ケ崎北陵高等学校】  問3・問5(昨年は問3・問4)
【平塚江南高等学校】   問4・問5(昨年と同じ)
【小田原高等学校】    問4・問6(昨年は問3・問5)
【大和高等学校】     問3・問4(昨年と同じ)
【横浜平沼高等学校】   問3・問5(昨年と同じ)
【相模原高等学校】    問3・問4(昨年と同じ)
【鎌倉高等学校】     問5・問7(昨年は問4・問7)

設問の特徴

選択式マーク解答が中心であるが、思考・計算を必要とする出題

問3は、(ア)~(キ)の中で計7問の出題。ページ数は4ページであった。多面的な出題であるが故に柔軟な対応力が求められ、1つひとつ冷静に解いていくことができたかどうかで得点に差が出る。
問4は、(ア)~(エ)の中で計8問の出題。ページ数は4ページであったが、出題数が多い上に、素早い思考や多くの作業を要する問題もあったので、思っていた以上に多くの時間がかかった印象を持ったのではないだろうか。
問5は、(ア)~(ウ)の中で計6問の出題。ページ数は4ページであったが、問4同様小問数が多く、時間がかかる。論理・図形と理系要素を中心に作りこまれ、思考力と高い計算力を問う出題となっていた。
問6は、(ア)~(エ)の中で計5問の出題。ページ数は4ページであった。設問数・ページ数ともに多くないが、1つひとつ問題が情報を適切に読み取る力、それをもとに思考する力、計算する力を高度に要求しているため、難易度が高いと感じた受験生が多かったのではないだろうか。
問7は、(ア)~(オ)の中で計7問の出題。ページ数は4ページであった。問6同様に、設問数・ページ数ともに多くないが、1つひとつの問題が資料文を正確に読み取る力、それをもとに思考する力を高度に要求しているため、正解を絞るのに苦労した受験生が多かったと予想される。また、指定語句を含む15字以上20字以内の条件付き記述の出題も含まれていた。

課題と対策

身の回りの様々な事象に興味関心を持ち、調べたり考えたりすることを習慣にする

大問ごとで必要とされる力は多岐に渡るが、以下の2点が重要。
1点目は、与えられた文章や資料といった情報から正しく読み取ること。多くの問題では、「読み取れることは何か」を聞いており、「何が言えるのか」ということを聞いているのではない。ここを取り違えないよう、「読み取れること」=「そこに書かれていること」を基本として読み取りの練習をしていくことが必要である。
2点目は、気付いた時にそれを疑問に感じること、そしてそれを究明しようとする姿勢である。中学校で学ぶ9科目は学問の基礎であり、ここをおざなりにして発展、応用が積み上がることは決してない。しかし、受け身だけの学びではこの特色検査で問われるような問題に立ち向かっていくことは難しく、自発的に学ぶ姿勢がまずは求められる。それを出発点とし、自ら情報を仕入れ、思考し、判断し、表現していく力がやはり必要である。