湘南ゼミナール 千葉県公立高校受験情報

2025年度千葉県公立高校入試分析資料

英語

「昨年度よりやや難化。読解力重視の入試」

〈難易度〉昨年度よりやや難化

〈総評〉マークシートが導入された昨年度の構成・大問数・配点を踏襲。リスニング・文法・英作文の問1~問6に50点分が割り当てられ、残りの50点分は問7~問9の読解問題に充てられている。

読解力重視の入試傾向は今後も変わらないと思われる。マークシート導入時よりミスを誘発する紛らわしい選択肢が増え、今年度はこれまではあまり見られなかった「空所に入れるのに適当でない選択肢」を選ぶ問題も出題された。

このように、簡単には選べない精読を要する問題は今後より増えていくと思われるので注意が必要である。

また、近年は難易度の高い単語・連語・熟語が注釈なしで本文や選択肢に含まれている(今回であればtranslate、be scared of、fall in love withなど)ので、教科書に載っている重要単語を暗記するだけでは読解するのが難しい入試となっている。

高得点を狙うには、何よりもまず豊富な語彙力を身に付けることが必須であり、そのうえで過去問演習等を通して読解力と読み解くスピードを鍛えていくことが重要である。


大問1~大問4「リスニング」:標準

問1、問3は、昨年度と同じ難易度。問2のイラスト問題は、比較表現など昨年度よりわかりやすい表現のため得点しやすかったであろう。
問4は、昨年度までの同義文完成の要素はなかったが、読まれる文章の要点を正確に捉える必要があったので、やや難しい問題だったと思われる。


大問5「文法(語形変化・語順整序)」:標準

語形変化は、これまでの入試ではあまり書くことのなかった単語であったので、昨年度よりは難しかった。

とはいえ、教科書範囲の単語であることに変わりはないので、特に不規則変化動詞はしっかりと暗記しておきたい。語順整序は、近年頻出の「仮定法」が出た一方で、あまり見慣れない「後置修飾(慣用表現)」と「不定詞と第5文型の複合問題」であったので、少し得点しにくい問題であったと思われる。

文法問題においても、日頃から多くの文章を読み、多様な表現に慣れておくことが正答への糸口になるであろう。


大問6「条件英作文」:基礎

非常にわかりやすいシチュエーションで、書ける内容も幅広い問題であったので、昨年度に比べて取り組みやすい問題であった。

中学2年生程度の英文で書ける内容なので、中学校でのライティングの授業などを活用してもらいたい。


大問7「長文読解」:標準

(1)は、昨年度同様300語程度の長文であったが、「空所に入れるのに適当でない選択肢」を選ぶ問題など精読を求められる問題が多く、時間を要したと思われる。

一方で、恒例の「要約文内の単語を推測して埋める問題」は前後の文章を読めば解けるものが多く、平易になっている。 (2)の図表に関する問題は、昨年度と同じ難易度で取り組みやすかったであろう。


大問8「長文読解」:標準

昨年度とほぼ同様の約450単語であった。

問題形式は「脱文補充」「条件英作文」「空所補充」「内容一致」とほぼ例年通りだが、問7同様に「空所に入れるのに適当でない選択肢」を選ぶ問題が出題され、より精読が求められる問題となった。

また、「条件英作文」は、従来本文を参考にして自分で英文を作る問題であったが、今回は本文をそのまま抜き出せばよく、過去問どおりに文章を作ろうとしてしまった受験生は苦心したであろう。

使われている語彙のレベルは今回の文章の中では最も高く、encourageやdepressedなどが注釈なしで使用されている。

なお近年、注釈に載る単語で複数の長文に出題されているものは、最初の大問のみに記載されているので、大問を順番に解いてないと注釈に気づかない可能性がある(今回であればget to)。大問を順番に解かない場合でも、注釈だけは一旦すべてに目を通しておくと安全であろう。


大問9「対話文読解」:基礎

昨年度同様、今年度も日常的な会話で、前後の文章を読めば解けるものがほとんどなので、取り組みやすい問題であった。

ただし、紛らわしい選択肢も見受けられるので、選択肢を一つ一つ丁寧に吟味する必要はあろう。

数学

「昨年度につづき易化傾向。網羅性の高い出題内容に対応力と時間配分が求められる」

〈難易度〉昨年度よりやや易化

〈総評〉出題形式は昨年度と変わらず。マークシートでの解答形式だった問題が全体の7割を占めた。

大問4問構成で,小問集合(各領域における基本問題、作図含む)、関数、平面図形(証明含む)、総合問題(平面図形、空間図形)からの出題であった。大問1や大問2では、昨年度と比べて平易な問題と手間のかかる問題のレベル差が大きく、取捨選択と時間配分が点差となったであろう。

大問3や大問4については、頻出問題であり、時間にゆとりがあれば対応することができた生徒は多いだろう。

改めて、日頃の過去問演習などで、本番を想定して時間を測って解くなど、取り切るための演習を積んでいくことが重要である。

また、大問1(6)『1次関数(定数を求める)』、大問4(1)~(3)『平面図形(おうぎ形)』など、出題頻度の高くない問題も近年出題されているため、日頃の勉強から幅広い学習内容に対応できるような対応力を鍛えていく必要がある。

また、日頃の学習の中に、入試問題に触れるなどの機会をつくることで、上位校合格に必要な応用問題に対応する対応力を鍛えていくことが入試の得点力を引き上げていく鍵となるだろう。


大問1「計算・小問集合」:難易度(基礎~応用)

昨年度の大問1と形式に大きな変更はなく、各領域の基本的な問題が出題され、合計16問、計51点分出題された。

昨年度に引き続き、(2)『方程式(整数に関する問題)』が出題され,(7)『作図(回転移動)』についても昨年度同様、比較的取り組みやすい問題となった。

一方で、(4)『データの分析(四分位数)』は上位校を目指す生徒であれば取り切りたい。

それぞれの四分位数とデータの個数の関係が正確に理解できているかが問われた。

(5)『確率(図形に関する問題)』は、空間図形の線分の長さの融合問題であり、苦戦を強いられた生徒も少なくないであろう。

線分の長さに注目してパターン分けを行ったり、余事象に注目するなどして解く必要があった。
近年見られる網羅性の高い出題傾向に対応するためにも、早期からの学習で満遍なく学習して、対応力を鍛えていく必要がある。


大問2「関数」:難易度(基礎~応用)

出題は小問3問と、例年同様の出題形式であった。

また、出題内容についても、昨年度同様『2次関数(グラフと平行四辺形)』であった。

(1)『2次関数(比例定数を求める)』や(2)『2次関数(三角形の面積)』は、基本問題であったため取り切りたい。

(3)『2次関数(グラフと平行四辺形)』の問題は、面積から座標を求める問題の出題がある。今年度含め近年の千葉県入試の傾向として、グラフと図形の融合問題の場合、図形の性質を活用することで解答できるケースも少なくない。
今年度においても、面積比と線分比の関係を用いて座標を求めることで、比較的スムーズに解くことができる。

上記と同様に、日頃の学習の中で、その解法の習得だけでなく、汎用性のある解法や考え方を定着していく必要がある。


大問3「平面図形」:(基礎~発展)

今年度は、『証明(円を含む相似)』であり、(3)については、昨年度同様に証明を利用して三角形の面積を求める問題での出題であった。

(1)は証明するための条件の穴埋め、(2)の証明では(1)を活用した証明であった。

(3)については、面積を求める問題だが、条件から正三角形が見つかれば、(2)の証明を活用することで解くことができただろう。

条件や分かった線分の長さを図に書き込みしながら解くなど、1つ1つの作業を徹底することが重要である。特に(3)のような問題が、上位校を目指す生徒は得点力を伸ばす鍵となる。日頃から、応用問題を解けるようにするためにも、図に条件を書き込むなどの、作業の徹底ができたかどうかが点数の分かれ目であると考える。


大問4「総合問題」:難易度(基礎~標準)

今年度の大問4は、昨年度と同様、会話文形式の出題であった。

今回は空間図形と平面図形との融合問題であり、題材としては図形を転がす様子についてであった。

この題材自体は、中学1年生の『平面図形(おうぎ形)』や『空間図形(円錐)』の知識を活用したものであるため、難易度自体は昨年度より易化している。

また、前後の文章が解答のヒントになるため、いかにこの大問に落ち着いて取り組めたかどうかが重要である。

(3)~(6)については、『空間図形(円錐)』であった。特に、(4)~(6)は、数の性質を活用して、規則性を探していく問題であったが、落ち着いて処理できたかが鍵である。

大問4については、例年、最後の小問に規則性を見つけて解き進めていく問題が出題されている。

ただ、最終問題であるため、ここまでの時間配分をどう進めていくのかが非常に重要である。限られた時間で演習を行うなど、実践形式の学習を日頃の学習に組み込んでいくことで、入試につながる得点力を鍛えていくことが重要となる。

国語

「難易度がより明確に。取るべき問題をしっかり取り切れるかが鍵の入試」

〈難易度〉昨年度より易化

〈総評〉全体的なコメント

軽微な変更として、聞き取り問題・小説が1問減り、古典が1問増加。大問構成などに大きな変更は見られなかった。

昨年度より問題数は多少減ったものの、文章量は多く、一問に時間をかけすぎると時間が足りなくなる恐れがあった。問題ごとの優先度・難易度が明確な点も昨年度と変わらないことから、時間配分を意識しながら解答する必要がある。

昨年度より選択問題の難易度は易しめで、対照的に記述問題は全体的に難しい。

総合的にはやや難易度を下げたが、単純な言い換えや本文の書き抜きではなく、ことばの意味を解釈したうえで言い換える問題が増えている。

取るべき選択問題をしっかり取り切ることが肝要であることはもちろん、難易度の高い記述にも敬遠せずに取り組む姿勢が求められた。

平均点は昨年度よりは上がり、55点前後に落ち着くと考えられる。


大問1「聞き取り」:昨年度同様

例年同様、文脈や因果の理解が必要な問題が多く見られた。音声を聞く際、メモを機械的に取るのではなく、早い段階で選択肢を確認・判断する力が求められる。


大問2・3「漢字」:昨年度よりやや易化

問題構成に変更はなし。難易度の高い読みは「謄本(とうほん)」のみで、他の読みは確実に解答したい。書きに関しては「授(さず)かる」、「航路(こうろ)」といった、受験生が誤答しやすい漢字が例年より多く見られた。

「初志貫徹」のような四字熟語は 毎年出題されているため、日頃から四字熟語に触れておくことが肝要だ。


大問4「論説」:昨年度より易化

読解の中心となる長文と、補助的な役割を果たす短文の二文構成という構成は変わらなかった。昨年度に比べると文章の難易度は下がったが、文章量は多いため、速く読む訓練は変わらず重要である。

難易度の高い設問は(6)(b)。千葉県としては珍しく50字以内と長めの記述であり、付属文の内容を踏まえつつ本文の筆者の主張をつかむ問題だった。

とはいえ、昨年度のような抽象度の高い言い換えなどはほぼ必要なく、千葉県によく見られる空欄補充形式 の問題であるため、過去問や模試などでしっかりと問題演習をしてきた受験生であれば十分解答は可能だっただろう。

多い文章量に対応するための速読力はもちろん、普段から線引きなどの作業を徹底したうえで、論理的な解法や記述の訓練を繰り返し行うことで得点力の向上につながる。


大問5「小説」:昨年同様

一本化以降続いていた、読解の中心となる長文と、それに関して話す会話文という構成が変更になり、長文のみの構成となった。

難易度は文章・設問ともに昨年度と同程度。難解な表現などもなく、読みやすかった。

難易度が高いのは(7)の記述の問題。傍線ではなく本文全体から読み取れる生徒の心情を答える問題で、指定語句も本文中にないものがあるため、書き抜きの組み合わせで解答することができない。

本文中の登場人物のやりとりを踏まえたうえで、指定語句から 答えを自分で1から組み立てる必要があるため、苦戦した受験生も多かったのではないか。

対策としては記述・解法の訓練はもちろんだが、部分点も加味して要素を拾いながら書く練習を繰り返すとよい。


大問6「古典」:昨年度よりやや易化

昨年度より1問多くなったが、文章の難易度は昨年よりやや下がった。

問題の難易度は小問ごとに差が大きく、(4)の理由問題、(5)(c)の記述は特に難しい。

昨年度より記述の文字数自体は少なくなったものの、古文の文脈と会話文の文脈を読み解き、必要な情報を絞って解答する必要があった。

一方で漢文の返り点問題や、主語を答える問題は難易度が低く、確実に取りたい。

これらの問題を確実に解答することはもちろん、古文の内容を正しく読解したうえで選択肢判断や記述を作成する表現力や思考力が求められた。


大問7「作文」:昨年度同様

昨年度も形式変更があったが、今年度も変更があり、物語文の内容補充とその読み取りという形式になった。

物語文自体は平易なものだが、補充した内容に自分の体験を踏まえて説明する必要があるため、総合的な難易度は高い。原典である「酸っぱい葡萄」を知っていれば、そちらに引っ張られて、自分の体験と紐づけて書くことが難しくなった受験生もいたのではないだろうか。

不慣れな形式・内容であっても「条件を確認する」「課題を正しく読み取る」といった基本を守って取り組むことを意識したい。

理科

「基礎基本の知識を幅広く問いつつ、頻出の応用もバランスよく混ぜた入試」

〈難易度〉昨年度よりやや難化

〈総評〉 形式は昨年度と同様、大問9題の構成。問1の小問集合を含め、物理・化学・生物・地学から2題ずつ各学年バランスよく出題された。

昨年度、記述問題が減ったことに引き続き、今年度は記述問題の出題が「0問」であった。その分、図示する問題が各分野から1題ずつ合計4問出題された。内容についても、知識問題が大半を占め、更に、細部の知識が出題されることもあるため、日頃から教科書に立ちかえり、基礎基本事項の定着を図れているかがとても重要だ。

また、応用問題は見慣れない形式もあるが、問われている内容は標準レベルで頻出のものがほとんど。このような正解率が20%~40%程度の問題をどれだけ正解できたかが難関校合格では分かれ道となる。

千葉県の理科は実験や観察を元にしながら問題を展開していく形式が基本で、情報量・文章量が非常に多く、データや図、表から結果を分析して整理する力や、それを表現する力が求められる。

そのため、日頃から重要な箇所への線引きを徹底するなどの、情報処理の練習をしていきたい。

平均点は昨年よりやや下がり57点前後になるのではと考える。 


大問1「小問集合」:難易度(基礎)

各学年、各分野(化学・生物・地学・物理)からバランスよく出題される小問集合の形式は昨年度と同様。

簡単な計算をさせる問題が出題されることもあるが、今年度は基礎的な知識を確認する問のみ。全問正解したい。


大問2「動物の分類(中1生物)」:難易度(基礎-応用)

会話文形式で、脊椎動物・無脊椎動物のグループ分けをする活動を通して、各グループの特徴をまとめる問題からの出題。幅広い知識が問われたが、1つ1つの問は基礎的なものばかりであるため、(3)までは正解したい。

ただ、(4)は、質問の組み合わせを選択する問題で、知識のみでは解けず、論理的思考も必要であるため、正解率は低かったと考える。


大問3「光の屈折(中1物理)」:難易度(標準-応用)

半円形のガラス・台形のガラス、液体を入れた容器などを使って、光の屈折の仕方を調べる実験からの出題。

(2)や(3)は、「光が進みやすい媒体の方が、角度は大きい」といった特徴を踏まえて解答できたかが大切で、光の進み方への本質的な理解が求められた。光の向きにも気をつけたい。

また、(4)は、屈折する光の道筋を図示させる問題で、応用問題の中では有名なものではあったが、不慣れな生徒は苦戦した1問だっただろう。



大問4「水蒸気量(中2地学)」:難易度(標準-応用)

コップの表面がくもる実験を通して、空気中の水蒸気量の変化についての考察からの出題。

知識問題もあるが、思考させる問題や計算させる問題が中心であったため大問の中での平均点は低いと考える。

(2)は、教科書の気温と飽和水蒸気量のグラフから曲線部分のみを取り除いたもので、それに気づけばイメージもしやすかったが、見慣れない問題に戸惑った生徒は多かったのではないだろうか。

また、(4)では、加湿器から放出された水蒸気量を算出する頻出問題で、部屋の体積の条件を見落としたくない。


大問5「蒸留(中1化学)」:難易度(基礎-標準)

混合物のみりんの蒸留をする実験から出題。蒸留の問題で問われる頻出の知識問題が2問。

また、実験結果から読み取る(3)や、質量パーセント濃度から溶質の質量を問う(4)のような応用問題も出たが、いずれも頻出なもので全問正解したい。


大問6「太陽の日周運動(中3地学)」:難易度(標準-応用)

太陽の1日の見かけ上の動き方を調べる実験からの出題。(2)の日の出時刻の問題は正解したい。

(3)の緯度と経度の違いが太陽の日周運動にもたらす事象を思考させる問題や、(4)のような光電池のパネルの設置角度の計算問題は難度も高く、正解率は低かったと考える。


大問7「ダニエル電池(中3化学)」:難易度(基礎-標準)

移行内容はやはり出題頻度が高いのか!?またしてもの出題。2年前のマイクロプレートの問題と見せ方は違うがイオンへのなりやすさを実験を元にして決定していく問題。

後半は3年前にも出題のあったダニエル電池の実験をテーマとしている。極板と水溶液を変えての実験も追加されているが、問われている内容自体は、仕組みの本質で基本的なものであり、根本的な理解ができていれば難なく正解できたと思われる。


大問8「蒸散(中2生物)」:難易度(基礎-標準)

葉の断面の観察から蒸散について問う出題。気孔の正しい場所を図示させる問題では、曖昧な知識のままにしておかず、教科書で確認し図で覚えるとよい。

(3)のような葉の表と裏での蒸散量の違いを計算させる問題は、応用問題ではあるが、表を書き、可視化させて解く練習ができていれば難しくない。


大問9「仕事とエネルギー(中3物理)」:難易度(標準-応用)

ふりこの実験や、斜面から小球を転がしものさしに衝突させる実験からの出題。(2)は、頻出だが意外と正解率の低い問題で、直観で解かないことが大切。

根拠を持って現象をとらえるなど、本質を考えることが大切だ。(3)は、ミスを誘発させやすい出題で、「適当でないもの」を選ばせる点と、「力学的エネルギーの保存」をイメージさせやすい文言の2点に注意したい。

(4)の応用問題は、グラフから必要な数値を選定して整理し、工夫して比例計算するなど、手数が多く正解率は低いだろう。

社会

「出題形式が大幅に変更、読み取りの比重が増加」

〈難易度〉昨年度より難化

〈総評〉 出題数、大問ごとの構成に変化はなかったが、出題形式に大幅な変更がかけられた。昨年度と同様に、資料の読み取りをもとにした思考力や判断力を求められる問題が出題の中心だったが、見慣れない形式の問題が増えた。

とりわけ問5は、冒頭に置かれた初見の資料の内容が理解できないと解けない問題が多く出題されたため、受験生にとっては解きづらかっただろう。

条件記述も文脈を正しく読み取る必要があり、書きづらいものが多かった。昨年度よりも難易が上がり、平均点は51点前後になると思われる。


大問1「総合問題」:難易度(応用)

読み取り問題として、内容が正しいものの組み合わせを選ばせる問題が出題された。資料の円グラフが割合の高い順に示されていなかったため、判断を誤った受験生もいただろう。

また、廃藩置県と関係の深いできごとを選ばせる問題が出題されたが、問われ方が抽象的であったため、問われている対象を正しく理解できている必要があった。


大問2「地理(日本地理)」:難易度(標準)

主な果物の生産グラフの読み取りでは、都道府県の位置を正しく理解したうえで判断する必要があったため、やや難しかった。

地形図では、ハザードマップを題材とした読み取りが出題されたが、基本的事項が中心であったため難易度は高くなかった。


大問3「地理(世界地理)」:難易度(応用~発展)

知識だけでは判断することが難しく、文章から求められていることを正確に読み取らなければならない問題が多く出題された。

中国国内の説明文の空欄補充は、前後の文脈を正しく読み取らないとひっかかってしまう可能性が十分にある。条件記述は今年度も世界地理から出題されたが、フィヨルドの成り立ちの説明を要求するものであり、昨年度と比べると大幅に難易度が上がった。


大問4「歴史(前近代史)」:難易度(応用)

文化史からはジャポニスムに関する問題が出題された。教科書の細部まで読み込む習慣がないと、時期の特定も難しかっただろう。条件記述は今年度も前近代史から出題された。

題材は織田信長が行った楽市・楽座の説明であったが、末尾を名詞で終わらせる必要があったため、やや書きづらかった。


大問5「歴史(近・現代史)」:難易度(発展)

昨年度と比べて出題形式が大きく変化した。ガンディーがヒトラーに送った手紙が題材となったが、誰が誰に対して送ったかを判断する必要があり、受験生は面を食らったことだろう。

とりわけ(1)~(3)の問題は、手紙の内容を正確に読み取れていないと全て不正解となる恐れもあり、全体的に難易度が高かった。


大問6「公民(経済)」:難易度(標準)

資料の読み取りでは、レポートの内容からアメリカを特定し、国民負担率からアメリカが大きな政府か小さな政府か判断する問題が出題された。

二段階の特定を要求する分、やや難しかったと言える。


大問7「公民(政治)」:難易度(応用)

選挙の四原則を問う問題では、ビゴーの風刺画からどの原則が実現していないかの判断が要求された。条件記述では、首長の解職請求が題材となった。

必要な署名数だけでなく、提出先まで書く必要があったため、やや難しめの記述であった。


大問8「公民(国際)」:難易度(標準~応用)

「マイクロクレジット」を題材とする問題が出題された。また、各国のエネルギー事情の読み取り問題では、ドイツがどれにあたるかだけでなく、適する説明を選ぶ必要があった。

発電割合と発電量の二つの資料を見比べながら判断する必要があり、やや難しかったと言える。