湘ゼミコラム

定期テスト

埼玉県公立高校の内申点|算出方法・高校別に合格者内申点を解説

「埼玉の高校受験では内申点ってどう評価されるの?基準や条件が知りたい」
「埼玉の高校を受験予定だけど、自分の内申点っていくつぐらい?」

現在、中学2年生や3年生で埼玉の公立高校を受けようと考えている人の中には、上記のように内申点について疑問を持っている人もいるでしょう。

埼玉県公立高校受験において、内申点に影響する要素は成績や部活動の実績、資格の有無などがありますが、一番重要なのは中学3年間の成績です。9教科×5段階評価がそのまま内申点になります。

特に、中学3年生の成績を重視している高校は多く、中学3年生の成績だけ倍にして内申点を計算するケースがほとんどです。

たとえば、「中1:中2:中3=1::2」といったように、中学3年生の成績だけ2倍で計算する高校もあります。その場合、内申点は以下のように計算します。

例)中1の成績合計が35、中2の成績合計が38、中3の成績合計が40の場合の内申点
35+38+(40×2)=153点

成績における内申点は上記のように計算することで、自分でも把握できます。しかし、高校を受験するにあたって、内申点の評価方法や条件だけ理解すればよいというわけではありません。

高校によって入試の点数で合格ラインがある程度決まっているのと同様、内申点の合格ラインも決まっています。

もし、自身の内申点が合格ラインに届いていないにもかかわらず、志望校をそのまま受験した場合、せっかく受験勉強をがんばっても志望校に受からない可能性があります。

そこで、この記事では、

・埼・埼玉県公立高校受験における各学年成績の内申点の比率や計算例
・【高校別】成績の内申点比率と実際に合格した人の成績の平均内申点(一部抜粋)
・埼玉県公立高校受験において成績以外で内申点に加算される条件
・【足りない内申点の点数別】内申点をふまえた上での志望校の決め方

について、徹底的に解説していきます。

この記事を読めば、埼玉県公立高校受験における内申点の評価方法や加算条件がわかるだけでなく、自身の内申点の場合、今後どのような行動を取ればいいのかもわかります。

受験直前になって「自分の内申点がわからない」「内申点が足りない!」と慌てないためにも、ぜひ最後まで目を通してください。

1. 埼玉県公立高校受験における各学年成績の内申点は「1:1:2」「1:1:3」などの比率で決まる

埼玉県公立高校受験で内申点に一番影響するのは、各学年の成績です。

各学年の成績は1年:2年:3年=1:1:2」や「1年:2年:3年=1:1:3」などの比率で評価されます。

特定の学年や主要教科の成績だけでなく、全学年・全教科の成績が内申点に関わります。

試しに志望校の内申点比率が「中1年:中2年:中3年=1::2」の場合、自身の内申点が何点になるかを計算してみましょう。

まずは、各学年の成績合計点を計算します。以下のように各学年における9教科の成績の評定を合計してください。

【9教科成績の評定計算例】

教科中学1年生中学2年生中学3年生
国語
数学
理科
社会
英語
保健体育
音楽
美術
技術家庭
合計313237

※3学期制の中学校であれば3学期、2学期制の中学校であれば後期の成績が内申点に反映されます。ただし、中学3年生のみ3学期制の中学校は2学期、2学期制の中学校は後期の中間テストのタイミングで成績が内申点に反映されます。

次に、「中1年:中2年:中3年=1::2」にならって、以下のように、自身の内申点の合計がいくつなのかを計算しましょう。

▼内申点比率「1年:2年:3年=1::2」の高校を受験する場合

31+32+(37×2)=137点(内申点)/180点

成績の評価の比率が「中1年:中2年:中3年=1::2」の場合、内申点の最大点数は180点です。

各高校では当日の入試点数だけでなく、成績の内申点にも合格ボーダーラインがあり、偏差値の高い高校ほど、成績の内申点も高い点数が必要とされる傾向にあります。

そのため、志望校が既に決まっている場合は、志望校における成績の合格内申点のボーダーラインに、自身の成績の内申点が足りているか確認しておくとよいでしょう。

2. 埼玉県公立高校における内申点比率・合格平均内申点一覧

この章では、実際の埼玉県公立高校が採用している、中学3年間においての成績の内申点比率と実際に合格した人の成績の平均内申点を抜粋して紹介します。

まだ志望校が決まっていない人は志望校を決める判断材料の1つに、既に志望校が決まっている人は自身の内申点で合格する可能性はあるか確認するのに役立ててください。

・中1:中2:中3=1:1:2の高校
・中1:中2:中3=1:1:3の高校
・その他の比率の高校

上記の順に紹介していきます。

※この章で紹介している表は令和6年度の各高校の選抜基準を参考に作成しています。
※この章で紹介している「内申点比率」「合格平均内申点」は成績に関しての内申点に限ります。

2-1. 成績の内申点比率が「中1:中2:中3=1:1:2」の高校一覧

まず、成績の内申点比率が「中1:中2:中3=1:1:2」の埼玉県公立高校を、抜粋して紹介します。

【成績の内申点比率が1:1:2の高校(一部抜粋)】

高校名学科・コース成績の合格平均内申点
市立浦和高等学校普通科175/180点
大宮高等学校理数科173/180点
浦和第一女子高等学校普通科173/180点
大宮高等学校普通科172/180点
浦和高等学校普通科171/180点
越谷北高等学校理数科171/180点
蕨(わらび)高等学校普通科170/180点
川越高等学校普通科169/180点
川越女子高等学校普通科169/180点
浦和西高等学校普通科168/180点
越谷北高等学校普通科166/180点
川口北高等学校普通科156/180点
熊谷西高等学校理数科144/180点

上記を見てみると、偏差値が高いと言われている高校の多くが、「中1:中2:中3=1:1:2」の比率を採用していることがわかります。

中学3年生の成績の比率が一番大きいですが、「中1:中2:中3=1:1:3」などの比率を採用している高校と比べると、全学年で満遍なく良い成績を残しておく必要があるでしょう。

2-2. 成績の内申点比率が「中1:中2:中3=1:1:3」の高校一覧

次に、成績の内申点比率が「中1:中2:中3=1:1:3」の埼玉県公立高校を、抜粋して紹介します。

成績の内申点比率が1:1:3の高校(一部抜粋)

高校名学科・コース成績の合格平均内申点
所沢北高等学校理数科219/225点
越ヶ谷高等学校普通科209/225点
所沢北高等学校普通科202/225点

成績の内申点比率が「中1:中2:中3=1:1:3」となると、中学3年生の成績がかなり重要になってきます。

特に、中学1、2年生で内申点をあまり稼げなかったという人は、中学3年生で成績を上げれば挽回できる可能性があるでしょう。

2-3. その他の比率の高校

最後に「中1:中2:中3=1:1:2」「中1:中2:中3=1:1:3」以外の成績の内申点比率を採用している埼玉県公立高校を抜粋して紹介します。

【その他の比率の高校(一部抜粋)】

高校名

高校名学科・コース成績の合格平均内申点成績の内申点比率(中1:中2:中3)
不動岡高等学校普通科258/270点1:2:3
大宮北高等学校理数科238/270点1:2:3
松山高等学校理数科203/270点1:2:3
春日部高等学校普通科281/315点1:2:4

成績の内申点比率が「中1:中2:中3=1:2:3」や「中1:中2:中3=1:2:4」の場合、学年が上がるごとに内申点の比率が上がっていくため、中学1年生より2年生、2年生より3年生の成績が重要になってきます。

現在中学1年生で内申点が低い場合でも、中学2年生、3年生で成績を上げていけば、志望校に受かる可能性は充分にあるでしょう。

もし、ここまで紹介した高校の中に志望校がなかった場合は、埼玉県の公式サイトに掲載されている各高校の選抜基準から、志望校における成績の内申点比率を確認してみてください。

3. 「部活で県大会以上の実績」「資格の取得など」があれば内申点に加点される

ここまで説明してきた通り、内申点に一番関わるのは中学3年間の成績ですが、人によっては、その他の活動実績などに応じて内申点が加算されます。

その他の活動実績とは、部活で県大会以上の実績がある場合や生徒会長を務めた場合、学校が指定する資格を取得した場合などです。

たとえば、以下は浦和西高校の普通科を受験する場合に、成績以外で内申点に加算される条件です。

【浦和西高校普通科を受験する場合に内申点に加算される条件】

学級活動や生徒会活動・生徒会長
・生徒会副会長
・各種委員会委員長 など
部活動・部長
・運動部:全国大会、関東大会、県大会出場など
・文化部:全国大会、関東大会、県大会(ただし、地区大会などを経たもの)への出場・出展
その他の活動運動部や文化部に準じて評価できるもの
資格取得・英語検定準2級以上
・漢字検定2級以上

参考:県立浦和西高等学校(普通科) | 令和6年度入学者選抜 | 埼玉県

上記の表を見てわかる通り、多くの人に適用される条件ではなく、部活動で好成績を残している人や資格を取得できた人など、限られた人にしか加算されない条件となっています。

しかし、「自分はそもそも部活に入っていない」「上記の条件に1つも当てはまらない…」と落ち込む必要はありません。ほとんどの高校で内申点の多くを占めるのは、中学3年間の成績です。

そのため、あくまで「成績以外にも内申点に影響する要素はあるけど、一番重要なのは成績」と心に留めておきましょう。

4. どの高校を受けるのがベスト?内申点をふまえた志望校の決め方

ここまで埼玉県の成績における内申点の比率や、成績以外で内申点に影響する要素について紹介してきましたが、中には「内申点が足りない場合、志望校は変えた方がいい?」と疑問を持った人もいるかと思います。

そこで本章では、内申点をふまえた上での志望校の決め方を紹介していきます。ここでは、中学3年生の夏頃を想定し、以下3つのパターンに分けて解説していきます。

・内申点が約1~4点足りなそうな場合:志望校を変える必要はあまりない
・内申点が約5~7点足りなそうな場合:英語と数学が得意な場合は志望校を変える必要はあまりない
・内申点が約8点以上足りなそうな場合:自身の内申点でも受かる高校に変えた方がよい

1つずつ見ていきましょう。

4-1. 内申点が約1~4点足りなそうな場合

中学3年生の夏時点で、志望校の合格平均内申点に約1~4点足りなそうといった場合は、志望校を変える必要はあまりないでしょう。

今から勉強を頑張れば、中学3年生の2学期末の成績を上げられるため、内申点を上げられる可能性があります。

中学校の成績は授業態度や小テストなどの結果も関わっていますが、一番影響するのは定期テストの結果です。

定期テストの評価方法は学校にもよりますが、ここでは以下のように定期テストの結果を評価していると仮定します。

・評定5:91~100点
・評定4:71~90点
・評定3:41~70点
・評定2:21~40点
・評定1:0~20点

たとえば、中学3年生の1学期末時点において9教科の成績がオール3で、このままの成績だと志望校の合格平均内申点に2点足りなそうといったケースを考えてみましょう。

上記の評価方法の場合、2教科で現在の定期テストの点数プラス1~30点を取れるようになれば、評定3を4に上げられ、内申点を2点上げられるといった計算になります。

このように、中学3年生の夏時点で、志望校の合格平均内申点に約1~4点足りなそうといった場合でも、次回の定期テストまでに勉強を頑張ることができれば、志望校に合格する可能性はあるでしょう。

4-2. 内申点が約5~7点足りなそうな場合

中学3年生の夏時点で、志望校の合格平均内申点に約5~7点足りなそうといった場合は、英語や数学で高得点を取れているのであれば、志望校を変える必要はないでしょう。

そもそも、内申点1点は入試の点数5~8点に相当すると言われています。内申点が5~7点足りないということは、入試で志望校の合格平均点より25~56点プラスで取る必要があるということです。

1問あたり2点と仮定すると、1教科あたりプラスで3~6問正解する必要があります。

上記を前提として、理科や社会、国語が苦手でも英語や数学の成績は毎回5を取っているなどの場合は、当日の入試の点数で内申点をカバーできる可能性が充分にあるでしょう。理由は以下の通りです。

・理科や社会、国語の一部(漢字・作者名等):暗記していれば回答できる問題が多いため、今から暗記問題に注力すれば、入試で点数を稼げる可能性が高い。

・英語や数学:英語は動詞の活用形や文法などを理解している必要があるほか、数学は公式を理解した上で計算力を鍛えていく必要があり、暗記だけでは解けない問題が多い。

このように、教科によっては今から勉強を頑張っても、足りない内申点を入試のテストでカバーできるほどの学力を身に付けるのは、難しいかもしれません。

そのため、中学3年生の夏時点で、志望校の合格平均内申点に約5~7点足りなさそうといった場合は、得意教科によって志望校を変えるか変えないかを判断するのも1つの手と言えます。

4-3. 内申点が約8点以上足りなそうな場合

中学3年生の夏時点で、志望校の合格平均内申点に約8点以上足りなそうといった場合は、よっぽど倍率が低い高校でない限り、自身の内申点でも受かる高校に変えた方がよいかもしれません。

これから内申点を8点以上上げる、もしくは、当日の入試の点数でカバーするのは、現実的に考えて難しいからです。

前述した通り、内申点1点は入試の点数5~8点に相当すると言われています。
たとえば、志望校の平均合格内申点に対して9点足りないといったケースを考えてみましょう。

・2学期末までに内申点を上げる場合:9教科オール3の場合、9教科すべてオール4を取るために、定期テストで1教科あたり1~30点(※1)プラスで取る必要がある。

・当日の入試の点数でカバーする場合:5教科合計でプラス50~80点(1教科あたり10~16点)、1教科あたりプラス5~8問(※2)正解する必要がある。

※1:評定3が41~70点、評定4が71~90点の場合

※2:1問2点の問題の場合

このように、中学3年生の夏時点で、志望校の合格平均内申点に約8点以上足りなそうといった場合、志望校に合格するのは難しいことがわかるかと思います。

そのため、志望校のレベルを落として、自分の内申点でも受かる高校に変えた方が賢明でしょう。

ただし、内申点がどれだけ足りていないのかや、どの教科が苦手なのか、最近どれだけ学力が伸びてきているか、現在の時期などによっては、まだ志望校に受かるチャンスはあるかもしれません。

もし、「自分は内申点が足りてないけど、志望校を諦めなければならないのか」と悩んでいる場合は、塾に相談してみるのもありです。

塾では内申点や学力の伸びしろ、過去の塾生のデータなど、さまざまな角度から志望校に合格する可能性があるのかを、受験のプロが見極めてくれます

また、受験に向けて効率的な学習ができるほか、勉強の習慣付けにも役立つでしょう。

5. まとめ

埼玉県公立高校受験で内申点に一番影響するのは、中学3年間の成績です。各学年の成績は「中1年:中2年:中3年=1:1:2」や「中1年:中2年:中3年=1:1:3」などの比率で評価されます。

成績における内申点は、学年ごとに9教科の評定を合計し、志望校の内申点比率にならって計算します。たとえば、「中1年:中2年:中3年=1:1:2」の場合は以下のように計算してください。

・中1の成績:31
・中2の成績:32
・中3の成績:37
・31+32+(37×2)=137点

志望校が既に決まっている場合は、現在の内申点だけでなく、志望校における成績の合格内申点のボーダーラインに、自身の成績の内申点が足りているかも確認しておきましょう。

また、成績以外で内申点に影響する要素として、部活動の実績や資格取得の有無などが挙げられます。学校によって異なりますが、たとえば、以下のような場合に内申点に加算されるケースが多いです。

・部活で県大会以上の実績がある場合
・生徒会長を務めた場合
・英語検定、漢字検定準2級以上を取得した場合 など

内申点をふまえた上で、志望校を変えるか迷っている場合は、以下を参考にしてください。

・内申点が約1~4点足りなそうな場合:志望校を変える必要はあまりない
・内申点が約5~7点足りなそうな場合:英語や数学が得意な場合は志望校を変える必要はあまりない
・内申点が約8点以上足りなそうな場合:自身の内申点でも受かる高校に変えた方がよい

※上記は中学3年生の夏時点の内申点を想定しています

各教科の得意・不得意や学力の伸びしろ、現在の時期などによっても、志望校を変えるべきかは異なるため、上記はあくまで参考として捉え、学校の先生や塾の講師にも相談することをおすすめします。