湘ゼミコラム

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カンボジアの地で「教育を考察する」

2019.05.23

湘南ゼミナールでは、2019年度の新入社員を代表して6名の社員が研修の一環として、カンボジアの教育現場を視察しました。

カンボジアは日本人の旅行先としても大変人気で、世界遺産に登録された遺跡群である寺院アンコールワットなど、観光地としてご存知の方も多いのではないでしょうか。

そんなカンボジアですが、2019年の最低賃金は月収128ドル(およそ1万4千円ほど)とも言われ、経済的事情から今もなお、子どもが教育を受けるという普遍的人権を享受しづらい環境にもあります。

湘南ゼミナール社員による、カンボジアでの古着の寄付活動

湘南ゼミナール社員による、カンボジアでの古着の寄付活動

今回、現地に向かった弊社新入社員が、教育環境が整ったここ日本では見ることの少ない、カンボジアの厳しい教育環境から、教育への志を見つめます。


湘南ゼミナール新入社員が「教育を考察する」
現地研修の新入社員レポートを下記よりコラムにてご紹介します。

〝学校に通っているだけでは進級ができない″ カンボジア教育の今

現在カンボジアの学校に勤める先生の給与水準は、極めて低い状況です。 そのため先生たちは、学校以外に塾を開校し、テストの問題では「塾で教えた内容からしか出ない」ものもあります。 そんな中、塾には通えないスラム街の子どもなど貧しい家庭は、学校に通うだけでは進級できないという問題が起こっています。

こういった先生不足は、給与水準の低さはもとより、カンボジアではまだまだ記憶に新しい1975年〜1979年までのポル・ポト政権下の独裁政権により、多くの人が虐殺された事件が大きく影響しています。 階級差の無い共産主義社会を目指していた政権は知識人を標的とし、多くの先生もその犠牲となりました。 その犠牲者は200〜300万人とも言われています。

湘南ゼミナールの社員研修では、これらの歴史を学び、「S21(トゥルー・スレン)」収容所や、「キリングフィールド」処刑所を見に行きました。そこでは、何度もなんども目を背けたくなる場面に遭遇しました。

その後、首都近くにある「くっくま孤児院」 に行きました。 支援で成り立っている孤児院の環境は、食事面など整ってきてはいるものの、日本とは大きく違い、朝から夕方まで勉強できるような体制はありません。 そのためこちらでも〝学校に通っているだけでは進級ができない″という子どもには解決しがたい問題を抱えていました。

しかしその現状とは裏腹に、学びたい意欲の強い子どもたちだらけでした。 向き合う私たちそれぞれが「教育とは何か」を考える機会になりました。

子どもたちの変化から見える『教育』の重要性

次に私たちはトロペアン・トム村という、首都プノンペンから車を1時間ほど走らせた奥地へと向かいました。 目的地は、日本人が10年前に建設した「イキイキスクール」という学校です。

学校は小学校1、2年生の子どもたちが学んでいます。 生徒はイキイキとして、先生が持っている教科書を食いつくように見ているのが印象的でした。
教室は2教室ありますが、2つの様子はまるで違います。

[小学1年生のクラスの様子]

小学校1年生のクラスでは、授業中も勝手に動いたり、私語をしたりする子が多く見受けられました。 ところが2年生のクラスになると、見違えるほど静かに授業を聞いているのです。
[小学2年生のクラスの様子]

この変化の差を目の当たりにした私たちは、驚きを隠せませんでした。 背景には、カンボジアの幼児教育の不足があります。幼稚園の先生を養成する学校が、首都プノンペンにわずか1校しかありません。そのため、小学生になって初めて集団行動を行う子どもが多くいます。 1年間の教育での子どもたちが変化する様は、教育に携わる者として改めて「教育」の重要性を感じました。

さらに私たちは小学校低学年向けのドントロ小学校 も訪問しました。 私たちが学校に到着すると、それだけでも子どもたちは大盛り上がり! 何が始まるのかとキラキラした目で私たちを見つめてきました。

ドントロ小学校では、

・糸電話の原理を考える

・ペットボトルでロケットがなぜ飛ぶのかを考える

という2つの特別授業を企画しました。

私たちは、カンボジアで出会った子どもたちから、厳しい環境下においても知識を吸収し、自己の成長や可能性を広げるために一生懸命に向き合おうとする前向きな姿を見せてもらいました。

今回の研修テーマであった「教育を考察する」。 湘南ゼミナールで講師を勤める者として、学力以外にも提供できることはないか、生徒さんの可能性を広げるためにはどのようにすべきなのか。 カンボジアの子どもたちとの触れ合いを通して、私たち1人ひとりが考えていく必要性を改めて感じました。 また、現地で出会った大学教授からは「広い視野とチャレンジ精神が大切。できるかできないかではなく、するかしないか」であるという言葉をいただきました。このカンボジアでの経験も1つの視野として、私たちが各教室で生徒さんの可能性を広げるための種としていきたいと思います

――――以上、カンボジア新人社員研修より

湘南ゼミナールの2019年度入社人数はのべ143人。 研修に行った新入社員6名のレポートは、全社員928名の前で発表し、想いを繋いでいます。 湘南ゼミナールは、今の基準のさらに1つ上を目指す組織となることを今年度のスローガンとしています。

今、目の前にいる生徒さんの 「その瞬間を、見逃さない。伸ばして行く。」 湘南ゼミナールでは、生徒一人ひとりに寄り添った教育をこれからも提供していきます。