湘ゼミコラム

勉強法

<小学生の国語編> 子ども自身が「表現したい!」気持ちを引き出す勉強方法

2020.01.08

文章を読み解き、正しい答えを出すために欠かせない国語力。その国語力は算数、英語、社会、理科など、他の科目の成績にも影響しかねません。

そこで本日は、国語、および作文指導にあたる講師に「表現力」を伸ばす指導について詳しく話を聞いてみました!

自分の思いを形にする
「表現力」の伸ばし方とは?

写真:湘南ゼミナール国語講師の佐々木、教務支援部の吉留

―――まず、国語力はなぜ大切だと言われるのでしょう?

吉留:
国語力=言葉の力だと考えます。
言葉を知らないと、異なるものを結び付けて考えることや、新しいものを生み出すこと、あるいはそれらを他者に伝えていくことが困難だからです。国語は思考力の根幹になる教科です。早いうちから文章をしっかり読み込んでいく、自分の言葉で表現していくということが大切だと思います。

佐々木:
人とコミュニケーションを取るなかでも、国語力、言葉の力によって世界が広がっていくというのは歳を取るとよく分かりますが、子どもたちにもあらゆる手法で伝えていきたいと思っています。

吉留:
国語は日本語を扱う科目ということで、すべての科目の土台になるものだと考えています。
科目の性質上、一朝一夕で身に付くものではなく、積み重ねていく中で少しずつ身に付けていくものです。文章の読み方を学び、設問の問題文を分析・精査して正解を導き、それを表現する。これからの時代に必要とされる力をバランスよく実践的に身につけていくためにも国語指導は欠かせません。

佐々木:
その反面、素直に吸収するとグンと伸びるのが分かる科目です。
文章を書くことにすごく苦手意識があった生徒さんでも、続けていくことで表現方法が身に付いて明らかに最初に書いたものとは違う文章を書くようになります。中学生になると他科目との兼ね合いもあり、国語の学習に使える時間が減っていきますので、比較的時間に余裕のある小学生のうちに「表現すること」への苦手意識をなくすことが、結果にもつながりやすくなります。

―――どうすれば国語力が伸びますか?

佐々木:
教科としての国語では「本文中に書かれていることにどう答えるか」といった問題が出ます。これは、筆者の言いたいことに対し具体例や比喩などを使って長文で表現しているもので、それを読み解くための「型」を学んでいけば、どんなお子さまでも解くことができるようになります。
物語文で例えるならば、人物がいて、場面・心情を物語の中で読み取っていこうというのが「型」にあたります。これを繰り返すことで、注目すべきところが分かった状態で文章を読めるようになります。

吉留:
小学生の授業では、「知識の分野」と「文章読解」という2つの面を出しています。
知識の分野に関しては努力で補えるものですから、早期から正しい方法で勉強すればしっかりと点数が取れるということを生徒さんにも明示しています。
文章読解は、勉強してすぐに結果が出るというものではないというのが国語科目の難しさです。知識が増えることで文章力が身に付き、だんだんと伸びていくものだと思います。

*「これからの時代に求められる国語力」/文部科学省サイト

国語の楽しさを知る作文講座で
子どものアウトプットにも注力

―――どうすれば表現力が伸びますか?

吉留:
正しく書く機会を増やすことだと思います。湘南ゼミナールでは小学生の全学年で作文授業を導入しています。最初は文章を書くことが難しかった生徒さんたちが、作文の「型」を身に付けていくうちに、「書くこと」を楽しむようになり、「もっと表現したい」という意欲も感じるようになりました。

生徒さんにもっと表現できる機会を提供したいと「日本語大賞」への参加を促した結果、湘南ゼミナールの中から2000人近い生徒さんが応募するようになりました。多くの生徒さんが、テーマに沿った800字以上の作文を書き上げてくることは、本当に素晴らしいことだと思っています。

―――「文章を書くのは苦手…。」そういったお子さまも多いのでは?

吉留:
書くことが苦手なお子さまは、目では文章を追っていても、読解において意味までは読み取れていない状態で読んでいるケースが多いです。日ごろから、一つの言葉で済ますのではなく、言葉に対するアンテナを張っていけるようにすることが大切かと思います。おうちの方にもご協力いただき、「他にどんな言い換えができる?」などとゲーム感覚で楽しんで語彙を増やせるとよいですね。

佐々木:
授業では、意味を調べて例文を一文書いてもらっていますが、意味調べが好きな子は書いてくる例文から違います。楽しんで書いているのは、文章からも伝わってきます。普段からお子さまの好きなジャンルや興味のあることでいいので、気になったこと、分からないことを調べるという習慣を身に付けることから始めていくことが重要です。

―――では”国語が好きになる”ために、湘南ゼミナールでは具体的にどのような指導をしていますか?

吉留:
小学4年生では、まず書くことへの抵抗をなくすことを重視しています。
「課題を読み取り▶材料集め▶材料選び▶内容を膨らまる▶結びの一文、構成を決める」という作文の型を、生徒さん自身が具体的に言えるようになるような指導をしています。この流れに沿って一文ずつ書いていくと文章が生まれます。「あれ?作文って結構かんたんに書ける!」と思ってもらうことを意識しています。

5年生では題材の難易度やレベルを上げていきます。さらに6年生では、題材の種類に「感想文」だけでなく「意見文」を取り入れています。
湘南ゼミナールの作文講座では年間10回、小学生の3年間で30回の作文に取り組んでいます。問題集を解くインプットだけでなく、インプットされた情報をもとに意見・発想をアウトプットする力を育むことを大切にしています。

―――生徒さん自身の想いを込めた作文は、評価も気になりますよね…。作文に対する評価はどのように実施していますか?

吉留:
作文の添削は評価項目に対して〇がいくつ付くかという一目で課題が見えやすい評価制度をとっています。自分の課題を把握して、次の作文ではそこに〇が付くように工夫をしてみることで、表現力の向上を促しています。そのため、作文は集団授業であっても一人ひとりに応じた指導を行っています。

佐々木:
普段から生徒さん自身が持っている優しさや心にあるものが作文の表現にも出ています。良いものを読む機会をどんどん作ることで、それを見た生徒さん自身の持つ強みと合わさって素晴らしい作品が生まれていくと思っています。

以上、取材より。

湘南ゼミナールでは、日本語検定委員会が設ける日本語をテーマにしたエッセイや作文を募集する「日本語大賞」へ希望する生徒さんの作品を応募しています。
第11回 日本語大賞の小中学生のテーマは「おもしろい日本語」で、2020年2月中旬には文部科学大臣賞をはじめとした受賞作品の発表が予定されています。

その表彰を前に、ご応募いただいた湘南ゼミナールの生徒さん約2000名の作品の中から、「湘ゼミ大賞」を発表!!

小学生による素晴らしい作品と表彰の模様は、ぜひ次回コラムにてご覧ください!!