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中学受験の算数はどう勉強したらいいの?入試問題の特徴や対策方法を解説

2019.02.18

中学受験を経験した保護者のなかには、「中学受験の科目のなかでも、特に算数が難しい」というイメージを持っている人が少なくありません。実際に、算数が苦手な子どもはたくさんいます。そのため、中学受験をするためには、算数にしっかりと時間をかけて対策をしていく必要があるのです。この記事では、中学受験の算数をいつから始めればよいのか、また具体的にどのような勉強をすればよいのか、どのような問題でつまずいてしまうのか、どこで受験勉強をするのが効果的なのかなどについて紹介していきます。

中学受験の算数

一般的な中学受験では、算数が必ず出題されます。ただ、中学受験で出題される算数の場合、小学校で習う算数とは質が異なります。そのため、中学受験をする場合には、出題される問題の特徴や傾向などについてしっかりと把握しておきましょう。

入試問題の特徴

中学受験の算数では、小学校で習わない問題も出題されます。そのため、小学校の授業で習う勉強をしているだけでは不十分です。さらに、中学受験の算数では、小学校で教わっていないような問題でも、論理的に考えながら解いていくことが求められます。特に、上位校の場合には、単に公式に当てはめて解くのではなく、記述式でじっくりと解法を考え抜かなければ答えが出ないような問題が出題されているのが実情です。中学受験の算数の問題のなかには、大人が見ても難しいと感じる問題も含まれます。ゆえに、受験科目となる教科のなかでも、算数は得意な子どもと苦手な子どもの差がつきやすく、合否を左右するケースも多くあるといえるでしょう。

小学校の算数との違い

小学校の算数の授業では、主に四則計算のルールや図形の面積を求める公式など、問題を解くために必要とされている基本的な知識を教わります。しかし、中学受験の算数では、そのような知識があることを踏まえたうえで、より発展的な問題が出題されます。たとえば、小学6年生の算数の授業では、時速・分速・秒速の意味を学び、そのうえで速さの三公式を学習して自分で計算できるようにしていくのが一般的です。ここから、正比例の関係についても学んでいきます。一方、中学受験の算数の場合は、「旅人算」や「通過算」、「流水算」、「時計算」と呼ばれる特殊算、線分図解法や面積図解法、ダイヤグラムなどのような小学校の授業ではあまり触れられることのないようなものも必要とされます。そのため、より読解力や論理的思考力が問われる難問が出題される傾向にあるといえるでしょう。

苦手な子どもが多い理由

学年が上がるにつれて、算数が苦手な子どもは増えていきます。算数が苦手になる理由としては、いくつかのことが考えられます。たとえば、「計算問題を正確に解くことができない」という理由です。このことは、「公式を覚えていない」や「ケアレスミスが多い」などの理由が背景にあるといえるでしょう。ほかには、「問題の読解力が不足している」や「難しい問題が出題されると最初からあきらめてしまう」、「そもそも問題の解き方が理解できていない」などの事柄も、子どもが算数を苦手としている主な理由として当てはまります。

そのため、中学受験を考えているのであれば、子どもが算数が苦手な理由を分析して、苦手な理由を取り除いていく指導も求められるのです。算数が苦手な理由が自信不足の子どもの場合には、テストの点数が低いことに対する親からの叱責も、苦手意識を作る直接的な原因となります。逆に、算数を得意科目としている子どものなかには、問題が解けた達成感を繰り返し味わっているケースが多く見られます。算数を得意にするためには、達成感を得ることによって自信をつけ、難しい問題を解く意欲が湧くという好循環を生み出すことが欠かせません。

そもそも計算力や思考力とは何?

中学受験の算数における計算力

中学受験の算数における計算力とは大きく分けて二つあります。一つ目は計算を正確に素早く解く能力です。中学受験の算数の問題では多くの学校で最初の問題に計算問題が用意されています。そのほかにも応用問題などでも計算の量は比較的多くなる場合が多いです。そのため、これらの計算に時間を使ってしまうと、問題を解ききれず得点が伸び悩んでしまうことがあります。また、どれだけ計算が早くても正確性が低いと計算ミスを繰り返し失点してしまいます。特に配点の大きい応用問題では学校によっては途中で計算を間違えるとそこからの考え方があっていても見てくれずほとんど点がもらえない場合もあります。そのため計算は正確に素早くできる必要があります。二つ目に複雑な計算を工夫して解く力です。中学受験の計算問題では難しい問題になると部分分数分解など高校数学の数列に近いような問題もでてきます。それらの問題を真っ当に計算しようとしても膨大な計算量になってしまい解くのが非常に困難です。そのため、工夫をして簡単な式に変形する力も求められます。

中学受験の算数における思考力

中学受験における思考力とは先を見通す力のことを指します。これは中学や高校の数学にも言えることですが複雑な応用問題などを解こうとすると「ある公式を使えばすぐに答えにたどり着ける」という状況はほとんどありません。複数の公式や考え方を使って必要な情報を求めていって最後に答えにたどり着くという問題がほとんどです。この時、思考力が足りないと情報が足りていないのにすぐに答えを求めようとして行き詰まってしまったり、いろんな公式や考え方を使って情報を求めている間に自分が今何をしようとしているのかを見失ってしまったりします。そのため応用問題では「まずAという公式を使ってaの値を求めてBの考え方でbとcが求まるからそうすれば答えがでるだろう」といったように計算を始める前に答えを求めるまでの道筋を考えておく必要があります。さらに付け加えると「Cという公式でもDという公式でもdは求められるけどCの公式を使うと計算が複雑になるからDを使おう」といったように先の展開まで読んで道筋を考えられるとなお良いです。このよに先を見通して道筋を考える能力が中学受験の算数における思考力です。

中学受験の算数はいつから勉強を始めればよい?

中学受験の算数では、さまざまなタイプの問題が出題されます。そのため、時間をかけて受験対策を行う必要があります。ここでは、中学受験の算数の勉強を始めるタイミングについて見ていきましょう。

小学4年生の春が一般的

中学受験を考えている多くの小学生は、学習塾でコースが開講される小学4年生の春(厳密には小学3年生の3月)に合わせて勉強を始める子どもが多く見られます。このようなケースでは、4年生・5年生の2年間で、小学校で習う算数の範囲をすべて終えるのが一般的です。そして、6年生では演習問題に重きを置いた内容へと移行していきます。

また、集団授業の場合には、年単位でカリキュラムが組まれています。したがって、後から塾に入った場合には、そこまでの勉強を独学や個別指導などのような別の形で補っていくことが欠かせません。加えて、学習塾で5年生が習う範囲には比や特殊算などが含まれるため、中学受験を視野に入れているのであれば、遅くとも5年生の春(小学4年生の3月)には受験対策のための学習を始めたほうがよいでしょう。

小学6年生からでは遅い?

志望校のレベルや子どもの学力によっては、小学6年生から受験対策の学習を始めた場合でも間に合う可能性があります。ただし、中学受験を考えている子どもの多くが4年生や5年生のときから学習を始めています。そのため、6年生から始める場合は、子ども自身が高いモチベーションを保つことや、人一倍努力することなどが求められます。また、6年生から取り組み始めた場合、最初のうちは学習の進度が異なるために、問題を解いてみてもまったくわからないということもよくあります。このようなケースでは、ほかの子どもたちの進度に追いつくために、個別指導や家庭教師を利用してみましょう。

中学受験の算数の効果的な勉強法

中学受験の算数を得意科目にするためには、どのような勉強が効率的なのかを理解しておくことが欠かせません。効果的な勉強法を実現するために、具体的な注意点と併せて紹介していきます。

基本問題の正答率を上げる

中学受験の算数では、小学校で習う基本的な問題や公式を正確に理解していることが前提条件となります。そのため、計算問題や基礎的な図形の問題に関しては、毎日解いて練習を重ねる必要があります。また、問題を解いた後には丸付けをしてできない箇所をはっきりとさせ、できるように改善していくことが欠かせません。丸付けをする場合は、親を始めとする周囲の人は、子どもと一緒に間違えた原因を考えながら、復習するように促すことがポイントです。

加えて、ケアレスミスを繰り返しがちな子どもについては、親が簡単に「ケアレスミス」と結論づけることは避けたほうが良いでしょう。最初からケアレスミスと決めつけるのではなく、「九九や公式を正確に理解できているか」や「問題を解く手順のなかでどういうところを忘れがちなのか」など、ケアレスミスを起こしてしまう原因について考えていくことが求められます。そして、子どもと一緒に考えながら、少しずつミスをなくせるように促していきましょ

苦手な問題をくり返し解く

中学受験の算数では、「計算問題は解けるけれど、文章問題が苦手」や「つるかめ算は得意だけど、消去算は苦手」などのように、子どもによって苦手とする分野が異なります。子どもは得意なことはどんどん勉強していきます。しかし、苦手なところは避けてしまいがちです。そのため、苦手な分野ほど基本的な問題を繰り返し解いてみて、「わかった」という達成感を与え、苦手意識を軽減していくことが大切です。「苦手な問題を繰り返し解く」という勉強法は、とてもシンプルな方法といえます。しかしながら、丸付けをした後に間違ったところについてもう一度考えて、できるようにしておくということはとても重要です。この作業を繰り返し行うことで、「何が理解できていて、何が理解できていないのか」を考えながら、できることを少しずつ増やしていきましょう。

予習よりも復習に力を入れる

中学受験の算数の勉強の進め方としては、基本的には塾で教わってきたことをもととして、家庭では習ったことを繰り返すというやり方で行うのがポイントです。また、家庭学習では予習・復習の両方に重点的に取り組むことがスタンダードなやり方と思われがちです。しかし、家庭学習の場合は、予習ではなく復習に重きを置いた勉強をするほうが効果的といえるでしょう。具体的には、授業で習ったことをもとに家庭で問題を解いて、次回の授業で理解できなかったことを質問するなどしてわかるようにするという学習のサイクルを作るのが理想的です。また、学習塾を利用しないのであれば、模擬試験の範囲を予習して、復習をするというサイクルになります。いずれにせよ、予習よりも復習に力を入れることが重要です。

応用問題は解けなくても新しい問題にチャレンジ

よく勘違いしてしまいがちですが応用問題は繰り返し解いても効果は薄いです。直前に苦手な問題は繰り返し解くと良いと書きましたが、これは基礎的な範囲の内容に限ります。理由としては基礎的な公式や考え方は問題によって変わったりはしません。そのため、公式などが馴染んでおらずうまく使えない時は繰り返し練習するのが非常に効果的です。しかし、応用問題に関しては話が違います。応用問題は難しい問題ほど他の問題には見られないような考え方や複数の公式などを使いこなす必要があります。そのため一回解いて解説を見た問題をもう一回やればその考え方が頭に入っているため案外すんなり解けてしまいます。しかし、これは思考力が成長したのではなく単純にその問題を覚えただけです。これだと使う考え方どころか問題文の書き方が少し変わっただけでも解けなくなってしまう場合が多いです。そのため、応用問題はどんどん新しい問題にチャレンジして思考力を磨いていきましょう。

中学受験の算数でつまずきやすい問題

中学受験の算数には、算数が苦手な子どもの多くがつまずきやすい分野があります。そのため、どういうところでつまずくのか、またどのように対策をすればよいのかを知っておきましょう。

中学受験で出題されるような比の問題は、その前段階で習う割合、さらには分数や少数についての理解が乏しいとつまずきやすい傾向にあります。比の問題に関しては、多くの子どもがつまずきやすい単元といわれています。そのため、比の問題でつまずいているときには割合に、割合の問題でつまずいている場合には分数や少数の計算まで戻って復習をしていきましょう。中学受験をしなくても、小学5年生では割合の勉強をします。分数と割合をしっかりと理解しておくことが、比の問題の苦手意識をなくすことにもつながるのです。また、比や割合の問題を簡単に理解するために、面積図や線分図を書いて理解を促すという方法もあります。問題の難易度が上がると図を書かなければ解を導くことが難しいケースも多くあるため、面積図・線分図を短時間で書く練習をしておきましょう。

特殊算

中学受験の算数の問題を解くためには、つるかめ算や旅人算、仕事算など、さまざまな解法を教わっておくとよいでしょう。入試問題には、「つるかめ算」や「旅人算」というワードは一切書かれていません。そのため、問題文を読んだうえで、どのような解法を用いるのが適切かという点を判断するスキルが求められます。

特殊算が苦手な子どものなかには、問題文を正確に読み取れていない子どもも見られます。したがって、文章題を多く解いて、「どのように聞かれたらどの解法を用いればよいのか」という判断スキルを磨いておくことが欠かせません。ただし、「面積図を書くと理解しやすい問題」や「線分図を書くと理解しやすい問題」など、解きやすくするための方法も問題ごとに異なるため注意が必要です。仕事算や旅人算のように、比例や割合の理解が必須の問題もあるため、何が理解できていないのかを常に考えながら勉強していきましょう。

図形

中学受験の算数で出題される図形はそのまま見ているだけでは解けない問題も多く、正しい補助線が引けるかどうかが明暗をわける可能性さえあります。このように、図形の問題では補助線の引き方などが極めて重要であることから、受験対策では多くの問題を解いていって、パターンを理解して解法を身につけることが大切です。また、平面図形が苦手な子どものなかには、そもそも図形をノートに写して解く習慣がない子どもも見られます。さらに、定規を使って几帳面に図形を書いてしまう子どももいます。中学受験の算数では、定規を使ってきれいな図形を書くことが目的ではありません。図形をフリーハンドで書けるようになることで問題を解くスピードも上がり、問題の解き方も理解しやすくなるというメリットをしっかりと把握しておきましょう。

中学受験独自の問題(難問・奇問)

難関校の算数では、「難問」や「奇問」と呼ばれるような複雑な問題が出題されることがあります。このような問題では、ひらめきや思考力、集中力などを総合的に見ているのです。そのため、中学受験を控えている多くの小学生や保護者が、「早く難問対策をしなければ」と考える傾向にあります。しかし、難問・奇問の対策に関しては、標準的な応用問題がきちんと解けるようになったあとに行うのが無難です。また、中学受験独自の問題については、学校ごとに対策の仕方が異なります。したがって、過去問を解いたり、学校ごとの対策講座を受けたりするなどの準備が必要です。加えて、中学受験では、万が一解けない問題が出た場合でも、解けない問題を捨てて、まずはわかる問題から確実に得点していくというスキルも求められます。

中学受験の算数はどこで教わればよい?

中学受験の算数は、塾や家庭教師、通信教育などで教わることができます。しかし、塾で勉強をするのが一般的です。塾で中学受験の算数について勉強するメリットについて見ていきましょう。

通信教育

通信教育で中学受験の算数を勉強すれば、塾よりも安く学習することができます。また、通信教育では苦手分野にスポットをあてて、そこをわかりやすく勉強することも可能です。ただし、難関校を志望する場合には、通信教育の教材だけでは対策が不足してしまう恐れがあります。また、子どもによってはコンスタントに学習していく習慣がないと、続けること自体が難しいという問題もあります。

家庭学習

実際のところ、家庭学習だけでも中学受験で合格する人はいます。しかし、家庭学習のみで合格しようと思ったら、低学年から学習を始めることが欠かせません。また、親が子どもに対して受験に関する指導やスケジュール管理ができるなど、家庭でありながら中学受験に対応できる環境が整っていることが条件になります。家庭学習で合格したいなら、親が中学受験に割く時間も必然的に多くなるでしょう。

塾はあらかじめカリキュラムを設定しているので、「いつ、何を勉強すればよいのか」というスケジュールを、家庭学習の場合のように親が考える必要はありません。特に、大手の進学塾では、受験までのカリキュラムを細かく設定しています。また、塾では中学受験で必要な算数をわかりやすく教えてもらえるだけではなく、わからないところや苦手分野を気軽に質問できるというメリットがあります。さらに、塾は中学受験に関するノウハウを持っている点が、入塾することで得られる強みのひとつです。特に、中学受験では子どものレベルに合った学習をすることも求められるため、塾選びは慎重に行いましょう。

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