湘ゼミコラム

公立中高一貫校受検

中学受験の面接で失敗しないためには?よく聞かれる質問とチェックポイント

2019.04.03

中学受験で面接を課す学校は以前よりも少なくなってきました。しかし、面接がある学校を受験する場合には「どのようなことを聞かれるのか」「うまくできなければ落ちてしまうのではないか」というような不安もあるものです。そこで、中学受験における面接の重要度とどのような対策を行えばよいのかについて紹介します面接でチェックされるポイントを知り、適切な対策方法がわかれば、不安の解消にもつながるでしょう。

中学受験の面接の重要度

中学受験の面接は学力試験ほど重視はされず、参考程度となっているのが一般的です。ただし、他の生徒と点数が拮抗していて合格するかどうかのボーダーラインにいるときは、面接結果が合否の決め手となる場合があります。

中学受験の面接スタイル

中学受験で行われる面接は、主に3つのスタイルに大別されます。子どもが1人だけで受ける「個人面接」、複数の子どもと一緒に受ける「グループ面接」、保護者と子どもで面接を受ける「親子面接」です。

個人面接

個人面接は、1名から複数名の面接官に対し、受験生1人で面接に臨むスタイルです。入室後は受験番号と名前などで本人確認を行った上で、質問の受け答えをしていきます。それが終われば退室という流れです。一般的な所要時間は5分程度ですが、学校によっては20分ほど時間をかけて行う場合もあります。

子どもだけのグループ面接

グループ面接は、受験番号順に5人程度でグループ分けした受験生を同時に面接するスタイルです。全員に同じ質問をしたり、1人ずつ違う質問をしたりしていきます。中には、回答するときに手を挙げたり、グループで話し合って回答を考えるように指示したりと、学校によってパターンはさまざまです。グループ面接では、他の受験生と返答が重複することもあるので、個人面接とはまた違ったプレッシャーを感じるかもしれません。受験生1人あたりの質問にかける時間は基本的には短く、数分で終わることがほとんどです。しかし、20分程度かけて行う学校もあります。

親子面接

親子面接には、保護者が同伴して子どもと一緒に受けるタイプと、保護者のみ別室で面接を受けるタイプとがあります。どちらの方が時間が長くなる、というようなことはなく、数分で終わるものから15〜30分程度かけて行うものまで、学校の方針によってさまざまです。

中学受験の面接でチェックされるポイント

面接でどのようなポイントがチェックされるのかは、特に気になるところでしょう。中学受験の面接は、受験生がどのような子どもでどのような家庭環境で育ってきたか、生活態度はしっかりしているか、などをチェックし、学校の校風や周りの子ども達と調和しながら学校生活が送れるかどうかを確認することが目的です。そのため、きちんとコミュニケーションを取りある程度問題なく受け答えができれば、基本的にはクリアできる試験だと思ってよいでしょう。

言葉遣い・マナー

「言葉遣い」と「マナー」は、面接を通してチェックされる重要なポイントです。面接では、面接官の質問に対しハキハキと答えることが大切になります。大きい声で「はい」や「いいえ」といった返事をはっきりするのはもちろん、分からないときには「わかりません」とはっきり答え、長く沈黙が続かないように気をつけましょう。回答には丁寧語を使い、できる限り敬語を正しく使用することも大切です。語尾には「です」や「ます」をつけ、「お父さん」「お母さん」ではなく「父」「母」といった名称で受け答えできるようにしておくのが望ましいでしょう。

また、姿勢を正し相手の目を見て話せるか、入退室の際の挨拶はきちんとできているかなど、基本的なマナーもチェックされています。どれも日頃から気をつけて生活するよう心掛け、面接のときにも自然に実践できるようにしておくとよいでしょう。

服装

面接当日の子どもの服装は、小学校の制服があればそれを着用するようにします。制服がない場合は、紺やグレーのブレザーとシャツを基本に、男子ならパンツ、女子ならスカートを穿くというのが一般的です。男子ならネクタイ、女子ならリボンをつける子どももいますが、これらは必須というわけではありません。靴はローファーを履く子どもが多いです。自宅に用意がなければ、デパートなどで相談してみるとよいでしょう。保護者(母親)の当日の服装は、グレーや紺、黒のスーツが一般的です。

どの学校でも、服装が合否を分けるということはないと言われています。とはいえ、ある程度しっかりとした服装で臨むようにしましょう。極端に派手なものや、明らかに遊びに行くような服装や髪型はNGです。親子ともに華美なものではなく、落ち着きがあり清楚な印象を与えられるものが好まれます。親子で一体感のある服装になっていると、より好印象になります。

中学受験の面接で聞かれる質問

中学受験の面接では、面接官からの質問に対して「何を答えるか」より「どのように答えるか」のほうが大切です。聞かれたことに対して必ずしも優秀な回答をする必要はありません。それよりも、はっきりとした口調でスムーズに受け答えできるようにしておきましょう。特に、このあと紹介するような質問は、どの学校でも共通して聞かれることの多いものです。当日返答に迷わないためにも、聞かれる前提でしっかり準備しておきましょう。

子どもがよく聞かれる質問

まず、子どもが聞かれることの多い質問から紹介していきます。面接官が子どもに直接質問する内容として多いのは、受験している学校に関する質問です。志望動機や通学のルート、筆記試験の印象などについて聞かれます。いずれの質問も、受験生が学校に通うことをどの程度具体的に考えているのか確かめるための質問です。中でも、「なぜ本校を受験しましたか」などの志望動機は、必ずと言っていいほど聞かれます。校風や教育方針などをきちんと理解した上で、自分の言葉で答えられるようにしておきましょう。もし、説明会や学校見学に参加したことがあるなら、そのときの印象や入学してからやってみたいことなどを具体的に話せるようにしておくと説得力が強まります。

通学ルートについてもよく聞かれます。入学が決まったら、毎日通うことになる道のりです。家から学校までどのくらいの時間がかかるのか、利用する路線や乗り換えの駅の名前は何かなど、しっかり把握しておきましょう。筆記試験の印象については、もし試験の手応えがなかったとしても、「全然できませんでした」などのネガティブな印象の返答は避けた方がよいです。「〜だけれど、全力で頑張りました」のようにポジティブな方向でまとめるほうが好ましいでしょう。これに対し、併願校については、聞かれたら正直に答えても合否に直接影響するということはありません。ただし、第一志望ではない場合、「滑り止め」のための受験だということまでは言わないように注意した方がよいでしょう。実際には第一志望でなくても、合格したら「この学校に入りたい」という意思が伝わるようにするのがポイントです。

学校に関する質問のほかに、子ども自身に関する質問をされることもよくあります。中でも、長所や短所などの性格面については頻繁に聞かれます。親や友人に普段どのように言われるかなど、簡単なエピソードを交えて自己PRができるようにしておきましょう。小学校で印象に残っていることや、努力したことについてもよく質問されます。ここで「受験勉強を頑張った」と答えてしまうと、ほかに頑張ったことがない印象を与えてしまいます。学校生活や友人関係を通してどんなことを学び、どのように心が成長したかということを中心に伝えるようにしましょう。また、入学してから挑戦したいことや将来の夢について聞かれた場合は、理由も含めて答えられるようにしておくとよいです。

そのほかには、最近読んで心に残った本や気になったニュースなど、読書や時事問題への関心が問われることもあります。本であれば、必ず最後まで自分で読んだ本について答えましょう。本や作者の名前はもちろん、簡単なあらすじや感想を述べられるようにしておくことが大切です。ニュースであれば、なぜその話題が気になりどのように考えたのかを説明できることが重要です。ただし、難しいニュースへの見解を求められている訳ではありません。政治や経済など、背景が複雑なものについては避けた方が無難でしょう。

保護者がよく聞かれる質問

次に、保護者が聞かれることの多い質問について紹介します。家庭での教育方針やしつけの方針、普段家で子どもにどのような手伝いをさせているかなどは、書類に書いて提出している場合であっても、あらためて面接の場で質問されることがあります。提出した内容と相違がないよう答えられるように準備しておきましょう。子どもの性格や、どのように親子でコミュニケーションをとっているのかなど、親子関係についてもよく聞かれます。これは、親が子どもに愛情を持って接しているかどうかを確かめるための質問です。親子関係が良好であることや、子どもへの愛情が面接官に伝わるように答えられれば大丈夫です。日頃から子どもとの会話やスキンシップを大切にし、円満な家庭環境であることをアピールできるようにしておくとよいでしょう。

受験する学校の印象や、受けさせようと考えた理由についても聞かれることがあります。答える内容が親の希望だけであったり、子どもの志望動機と食い違ってしまったりすると、親の押し付けでの受験だと見られてしまいますので注意が必要です。学校生活を通してどのような大人に成長していってほしいのか、その学校の特徴に触れた上で答えられるようにしておきましょう。また、面接に行くときには学校案内のパンフレットを持参しておくと、学校の教育方針や校風などを面接の直前に再確認するために役立つでしょう。

中学受験の面接対策のコツ

中学受験の面接は、筆記試験ほど重要度は高くありません。しかし、対策がまったく必要ないというわけではありません。どのように対策するとよいのか、コツを紹介していきます。

よく聞かれる質問を想定して練習する

面接本番になって困らないようにするためには、志望校での面接の形式や時間をしっかり把握しておくことが最低限必要でしょう。その上で、その学校でよく聞かれる質問事項を調べて対策しておく必要があります。また、志望動機や将来の夢などのような子どもが面接で答える内容については、事前に親子でよく相談して用意しておくとよいでしょう。

面接官役を変えて練習する

面接の練習は、家庭でも行うことができます。しかし、ずっと親ばかりが面接官の役をやっていると、練習では緊張感が持てずに、いざ本番となったときに緊張し過ぎてしまうという恐れがあります。また、練習での面接官と本番での面接官の雰囲気が違いすぎるという場合も、緊張につながってしまいます。面接では初対面の大人を相手に受け答えする必要がありますから、可能なら練習でもある程度の緊張感を必要とする相手に面接官役をやってもらった方がよいでしょう。面接官役は、できる限り固定せずにいろいろな人にやってもらうことが大切です。

塾の面接対策講座を受講する

高校や大学受験の場合と違って、中学受験の面接対策を行ってくれるという公立の小学校はほとんどないでしょう。そのため、受験生のほとんどは塾での面接講座を利用して対策を行っています。塾の面接対策講座を活用すれば、志望校にあった練習をすることができます。また、家族が面接官役をするわけではないので、子どもにとっては適度な緊張感を持って練習できるでしょう。塾によっては、子どもと面識のない先生が面接官役を務めるなど、本番に近い環境での練習が可能です。入退室のときのマナーや、話しているときの視線や声の大きさなど、家庭で練習するときには気がつきにくい改善点もしっかりと見つけてもらえる点もメリットです。

中学受験の面接は親子で準備を

中学受験の面接は、学力試験ほど重視されるわけではありません。しかし、適切な対策を行わなければ、本番でスムーズな受け答えを行うのは難しいでしょう。基本的な言葉遣いやマナーについては普段から生活の中で意識しておくほか、志望動機などについては親子でよく話し合って準備しておく必要があります。とはいえ、受験のための勉強自体も忙しく、いつ対策を行えばよいかなど、家庭ですべての対策を考えて実行するというのはあまり現実的ではありません。

一方、塾であれば筆記試験の対策だけではなく、志望校の面接に詳しい情報も持っていることがほとんどです。面接対策講座は、本番に近い環境で練習ができ、保護者も不安なことを聞くことができます。中学受験の面接対策には、塾の利用を検討してみるのもいいでしょう。