湘ゼミコラム

高校受験・入試

[小・中学生]大学付属校に行くと必ず大学進学できる?付属校のメリット・デメリット

受験における「進学校」と「大学付属校」という2つの選択肢。

「大学入試がない大学付属校の方が有利?」

「進学校は大変そう・・・」

と、受験を機に大学付属校への進学を検討される方も多いかと思います。

本記事では、“ 知っているようで知らないことが多くある ”  大学付属校についてご紹介します。

意外と少ない?エスカレーター式

高校受験から大学付属校に進学し、そのまま併設の大学へと内部進学できることが大学付属校の大きなメリットと捉える方も多いことでしょう。

いわゆるエスカレーター式と言われる内部進学ですが、推薦の条件は学校によってさまざまです。
付属校での成績や、学校が独自に実施する学内テストの成績などで審査することもあり、成績によっては希望する学部に進めないケースがあることを知っておきましょう。

内部進学率が高い高校の例として、難関私立大学付属校の進学状況を見ていきます。

私大エスカレーター式の代表格、慶應系

慶應義塾、慶應義塾志木、慶應義塾湘南藤沢、慶應女子をはじめとする系列大学への推薦枠がほぼ100%の高校はもちろんのこと、慶應系の高校に通うほとんどの生徒が慶應義塾大学へ内部進学しています。

中学受験・高校受験ともに大学の難易度に準じた学力が求められるため、ほとんどの生徒が内部進学するエスカレーター式とはいえ、希望学部への進学をめぐるハイレベルな競争が繰り広げられます。

首都圏の早稲田系

早稲田実業/早大学院/早大本庄では、ほとんどの生徒が早稲田大学へ内部進学しています。

しかし、中学入試のみ実施している早稲田中学・高校は、推薦進学者枠が卒業生の約半数(※2022年度(令和4年度)は推薦枠159名)に限定されているため、注意が必要です。
早稲田高校から早稲田大学への2022年度 内部進学率は約52%で、東京大学合格者29名など難関大学へ進学する一面も、もっています。

MARCH(明治大学/青山学院大学/立教大学/中央大学/法政大学)系

MARCH系でも、ほとんどが系列大学へ内部進学をしています。

※MARCHとは、明治大学/青山学院大学/立教大学/中央大学/法政大学の計5大学の頭文字をとった総称です。

■ 明治大学付属

明大明治、明大中野、明大中野八王子は、内部進学率が約80〜90%程度と、多くの生徒が内部進学をしています。明治大学付属の各高校では、他大学への進学対策に関するサポート体制も備えています。

■ 青山学院大学付属

青山学院高等部は、例年の内部進学率が約87%で、基準を満たした生徒のほぼ全員が青山学院大へ内部進学しています。青山学院横浜英和は内部進学率54.8%と半数程度を占めるものの、他の難関私立大学へ進学する生徒も見られます。

■ 立教大学付属

立教新座は、ほぼ全員が立教大学へ内部進学しています。
立教池袋は、約86%の生徒が立教大学へ内部進学しており、一部の生徒が他の私立大学に進学しています。

■ 中央大学付属

中央大高等、中央大付属、中央大付属横浜、中央大杉並の4校は、内部進学率が約77%〜93%と高く、ほとんどが中央大学へと内部進学しています。

■ 法政大学付属

法政大高等、法政第二、法政国際の3校は、内部進学率が約81%〜91%と高く、ほとんどが法政大学へと内部進学しています。

その他、東海大学系の首都圏にある付属校(東海大浦安/東海大相模/東海大高輪台)でも内部進学率が80%台と高く、ほとんどが東海大学へ内部進学しています。

※上記の内部進学率は各校ホームページより情報を抜粋しております。
詳しくは各校ホームページをご覧ください。

しかし、難関私立大学で内部進学率の高い付属校のうち、神奈川県内の高校受験をしている学校に絞ってみると・・・

・慶應義塾
・中央大付属横浜
・青山学院横浜英和

法政第二
法政国際
東海大相模

上記の6校に絞られ、その数は極端に減ります。

※神奈川県内の高校受験をしている付属校には「日大藤沢」もありますが、内部進学者数が半数以下の為、次の項目でご紹介しております。

首都圏の主要な大学付属校の内部進学率一覧(2022年11月時点)

※早大学院は2022年度現在の生徒数で内部進学率を算出しています。
※2022年11月現在、各校ホームページの掲載情報をもとに作成しています。

難関国立大をはじめ、他大学へ進学する付属校は?

大学付属校には、高校卒業後に “そのまま系列大学へ内部進学する ” という選択肢だけでなく、一般入試で他大学へ進む “進学校の側面” をもつ付属校もあります。

高校から入学できる付属校の進学状況を例に見ていきます。

東京の國學院高校では、2022年度入試で國學院大學に無試験で内部進学したのは卒業生の約14%です。また、明治学院高校から明治学院大学に系列校特別推薦試験で内部進学するのは、例年で約30〜35%、桜美林高校から桜美林大学に内部進学するのは、例年で約5%~10%程度(2022年度は3.4%)と、内部進学が少数派になっています。

神奈川県に絞ってみても、鶴見大学附属関東学院桐蔭学園麻布大附属湘南工科大附属などは、進学校としての位置づけが明確です。


相変わらずの人気校である日大(日吉)は、卒業生の約40%が国公立や難関私立大へ進学、日大藤沢も半数以上が他大学へ進学するなど、進学校としての側面もあることを強く打ち出しています。このような進学校の側面をもつ付属校では、一般入試(大学入学共通テスト)に対応すべく、細やかな指導がなされているケースも多く見られます。

エスカレーター式で推薦枠を設ける付属校では、大学入試が無いことから、学習意欲の中だるみが心配されることがあります。しかし、多くの付属校が「しっかり勉強しなくてはついていけない環境」「学習についていくための補習体制」を整えています。

学校のカリキュラムに沿って勉強していれば推薦枠に応じて内部進学することが可能ですが、学内成績によっては、系列の大学に進学できないという生徒が一部いることも知っておく必要があります。


こうした学習環境はもちろんのこと、高大接続ならではの環境を生かし、系列大学の教授を招いた専門性のある学問に触れられることなどが、近年の付属校人気の要因にもなっています。

付属校は本当に「お得」なの?大学進学で注意したいポイント

大学付属校は、学校生活の取り組みがそのまま、併設大学の推薦につながります。
受験勉強をすることなく併設大学に入学できるということを「お得」と捉える方も多くいらっしゃるでしょう。

内部進学を前提とした学習カリキュラムを組んでいる付属校も多いため、課外活動や部活動などに時間を費やすことができるのも魅力の1つです。

しかし、内部進学時に「行きたい学部」を選べるようになるためには、校内の競争に打ち勝つ必要があるのも事実です。

内部進学する大学に希望する学部・学科がないケースも

内部進学の場合、系列の大学にある学部・学科へ進学することとなります。

エスカレーター式の付属校の場合、その大学に希望する学部がないケースもあるため、注意が必要です。

また、付属校の多い大学への内部進学は、その数が多ければ多いほど狭き門となります。
なかでも競争が激しいのが、医学部です。

系列大学に医学部がある付属校には、慶應義塾大学、東邦大学、近畿大学、東海大学、日本大学、帝京大学などがありますが、内部進学や内部推薦を受けるためには、非常に優秀な成績を修める必要があります。

系列大学にない学部への進学を検討する場合

高校生になると、お子様自身が興味や自分の考えをしっかりと持ち、物事を調べる力も高まります。

そんな時に、内部進学の選択肢だけでなく、他大学受験の選択肢が残されていることは大きなメリットとなるでしょう。

系列大学にない学部へ行きたい場合は、他大学の受験を検討します。

しかし、内部進学率がほぼ100%のエスカレーター式の付属校では、“ 進学指導・受験対策をしない ”と明言する学校もあるため、他大学受験のサポート体制を確認しておくことが重要です。

「大学付属校」と「進学校」大学入試の選択肢を広げるには?

内部進学の制度を設ける付属校に比べて、進学校は大学進学の保証が減ることは明確です。一方で、進路選択の幅を無限に広げられるのは、進学校の大きなメリットです。

大学入試改革による「大学入学共通テスト」の実施により、複数の大学・学部学科に出願できる(個別試験がある場合を除きます)ため、国公立大学の志願者が併願しやすいこともあり、多くの受験生が共通テスト方式を利用しています。

しかし、令和7年度の大学入試からは、新学習指導要領にも対応した「大学入学共通テスト」が実施されることが大学入試センターより発表されています。(2022年11月9日 発表情報より)

導入する大学は、国立大 82校、公立大 94校、私立大 530校以上と年々増加しています。

こうした大学入試改革による変更など、確かなものがない状況に不安を感じ、大学付属校を選ぶ人が増えています。

大学入試において最も意識したいのは、「大学に入ること」がゴールではないということです。


お子様自身が「その大学で何をしたいか」「将来の目標は何か」を突き詰めて大学を選ぶことが大切です。その選択は、「大学に入学してからの過ごし方」や、「その先にある将来」にまで大きな影響を与えます。

高校受験をする際にも、大学付属校であれ、進学校であれ、社会に出てからの準備をしっかりとできる環境を見据えて選んでいきましょう。

湘南ゼミナールでは、進路決定において長期的な視点で生徒さん一人ひとりの特性を見ることを大切にしています。
大手学習塾ならではの豊富な受験情報と、受験指導経験の豊富な講師によるサポート体制で生徒さん自身がどのような価値観で志望校を決めると良いのか、コミュニケーションを重ねながらサポートしていきます。