湘ゼミコラム

高校受験・入試

中学生の内申点の平均はどのくらい?受験に対する内申点の正しい見方

「中学生の内申点の平均ってどれくらいかな?」
「自分の今の内申点だと高校に合格できる?大丈夫かな?」
「内申点の平均を知って、自分は今どれくらいの学力があるのか知りたい!」

高校受験を控え、自分の内申点や中学生の内申点の平均が気になっているところではありませんか?

残念ながら、中学生の内申点平均を出すのは非常に困難です。

なぜなら、高校受験の内申点は、計算の元となる評定の対象範囲や内申点の計算方法自体が、都道府県や学校によってさまざまで、詳細なデータというのも公開されていないからです。

とはいえ、内申点の平均を知っても、志望校に合格するための判断材料にはならないため、気にする必要はありません。なぜなら、志望する学校や受験方法によって内申点の影響度は変わってくるからです。

例えば、同じ神奈川県内の公立高校の一般入試でも、内申点の影響度は以下のように違いがあります。

【学校別・内申点と学力検査の割合の違い】

学校名内申点学力検査
横浜翠嵐高校
鶴見高校
白山高校

参考:神奈川県「公立高等学校入学者選抜選考基準」

横浜翠嵐高校は内申点の割合が3割なのに対して、白山高校は7割もあります。

また、各都道府県や学校によって内申点の計算方法は異なっており、内申点の合計数も異なるので、正確な内申点の平均値を知るのは難しいのです。

大事なのは、内申点の平均を知ることよりも、自分の内申点を知って今の自分の現状を知ることです。

今の自分の内申点を知ることで、志望校が決まっている人は志望校と自分の学力を比較する目安になります。また、志望校が決まっていない人も、今の状態ではどのあたりの高校に行けるのかがわかる目安になり、今のままでいいのか・対策を打つべきなのか判断材料になるでしょう。

高校受験で後悔しないよう、この記事では、内申点について以下のことを解説します。

この記事でわかること
・中学生の内申点の平均を知っても、自分の受験には意味がない
・中学生の内申点の平均について
・自分の内申点が足りているか確認する方法
・今から内申点を上げる5つの方法

この記事を読むことで、自分の内申点がわかり自分の状況が把握できます。さらに「このままでは合格が危ない」とわかった場合にするべき内申点を上げる方法も解説するので、すぐに対策することができます。

これから高校受験に備えて何をすればよいかわかるよう、まずは内申点について知っていきましょう。

1. 中学生の内申点の平均

冒頭でもお伝えしましたが、結論、中学生の内申点の平均は一概に出すことができません

なぜなら、内申点の元となる評定の対象範囲や内申点の計算方法が、都道府県や学校によってさまざまだからです。

例えば、公立高校の場合は各都道府県の教育委員会の方針により、評定の対象期間が大きく分けて3パターンに分かれています。

そして、内申点の計算方法や合否に関わる比重の割合も、各都道府県の方針によって異なります。

一方で、私立高校の場合は、教育委員会の方針に縛られないため、各校がそれぞれ独自に設定した基準にて内申点を算出します。

公立高校と私立高校の違い
公立高校と私立高校では、以下のように運営元が違うので、高校受験においての基準も異なってきます。
公立高校…都道府県・地方公共団体が運営。内申点の計算方法なども、基本的に各都道府県のルールが適用される。
私立高校…学校法人が運営。各学校が独自の運営をしているため、受験資格なども独自のルールが適用される。

このように、高校受験における内申点は、都道府県や受験する学校によってさまざまです。どのような違いがあるのか、具体的に説明していきます。

1-1. 中学生の内申点は都道府県や学校によって異なる

中学生の内申点は都道府県や学校によって異なります。公立高校と私立高校の場合で見てみましょう。

▼公立高校の場合

公立高校の場合、内申点の評価範囲と計算方法は、基本的に都道府県の教育委員会によって決められています。

例えば、同じ関東圏の東京都・神奈川県・埼玉県であっても、内申点の評定範囲と計算方法は以下のように違いがあります。

【東京都の内申点の計算方法】

【神奈川県の内申点の計算方法】

【埼玉県の内申点の計算方法|中1:中2:中3=1:1:2の場合】

埼玉県の内申点の計算方法|中1:中2:中3=1:1:3の場合

東京都の場合、中学3年生の評定のみが対象範囲となっています。また、計算方法が都内の公立高校一律で計算しやすく、合否に関わる比重も学校によらず学力:調査書(内申点)=7:3とわかりやすくなっています。

一方、神奈川県の場合は、中2・中3の成績が評定の対象となっており、一部の学校では内申点の比率も変わるなど、少し複雑になります。

さらに、埼玉県になると、内申点の比率が学校によって以下の3パターンに分かれるため、もっと複雑になるのです。

・中1:中2:中3=1:1:2
・中1:中2:中3=1:1:3
・その他の比率

このように、公立高校でも都道府県の方針によって内申点の計算方法や対象範囲が全然違います。そのため、自分が受験する都道府県の内申点の計算方法や、志望校の計算方法を調べておく必要があります。

【志望校のある都道府県の内申点の計算方法の調べ方】
・インターネットで「○○県 高校受験 内申点 計算方法」と検索する
・インターネットで「○○県 ○○高校 高校受験 内申点 計算方法」と検索する
※公立高校でも、学校独自の計算方法が使われている場合があるので「高校名」も入れて確認してみよう

▼私立高校の場合

私立高校の場合、内申点の基準や計算方法を、各学校で独自に設定している場合が多いです。

1)調査書フォーマットが学校オリジナルの場合がある

私立高校でも各都道府県の調査書(内申書)フォーマットを使用している学校が多くありますが、独自の様式で作成しているところも多いです。そのため、必ず学校のHPで受験要項を確認する必要があります。

例えば、東京都私立高校の國學院高等学校の場合、中学3年間の成績や学校態度が内申点の評価対象になります。

同じ東京都の高校受験でも、評定範囲が全く異なっていることがわかりますよね。

この場合は、通っている中学校の先生が、志望校の指定フォーマットで調査書を作成します。

2)各学校で内申点の独自の基準がある

また、以下のように、各学校で独自の内申点の基準を設けている学校があります。

例えば、東京都にある郁文館高等学校の場合、以下のような内申基準が設けられています。

【東京都・郁文館高等学校の受験資格】

東大クラス内申点の合計が、3教科(国語・英語・数学)で14以上、5教科(国語・英語・数学・理科・社会)で23以上のいずれかに該当
国立選抜クラス内申点の合計が、3教科(国語・英語・数学)で14以上、5教科(国語・英語・数学・理科・社会)で21以上のいずれかに該当
特進クラス(特進/e特進)内申点の合計が、3教科(国語・英語・数学)で13以上、5教科(国語・英語・数学・理科・社会)で19以上のいずれかに該当
進学クラス内申点の合計が、5教科(国語・英語・数学・理科・社会)で18以上、9教科で30以上のいずれかに該当

参考:郁文館高等学校「2023年度 生徒募集要綱」

このような内申基準がある場合は、その内申点の基準を上回っていないと、そもそも受験することもできません

このように、都道府県や学校によって、高校受験における内申点の計算方法や在り方は全く異なっているのです。

1-2. 内申点平均を出すには都道府県別の詳細データが必要となる

自分の地域の内申点の評価範囲や計算方法がわかっても、実は詳細なデータがないと平均を出すことはできません。

なぜなら、前述の通り、同一の都道府県内でも、東京都のように評価範囲や計算方法が統一されている訳ではないからです。

例えば、東京都では下図のように各教科の評定分布状況を公表しています。

【各教科の評定分布状況:都内公立中学校等621校を対象】

引用:東京都「都内公立中学校第3学年及び義務教育学校第9学年(令和5年12月31日現在)の評定状況の調査結果について」

このような詳細なデータが出ている場合は、このデータを用いて計算することで、内申点の平均を出すことは可能です。

例えば、上記調査結果を元に下記の計算を行うと、令和6年度の東京都の公立高校を受験する際の内申点の平均は42.5点となりました。

【東京都公立高校受験の際の内申点の平均(一例)】
内申点の平均は以下の計算式で求められます。

この計算式に当てはめて、計算してみます。
1. 各都道府県の内申点の計算方法を調べる東京都の内申点の計算方法:(中3・5教科の合計)+(中3・4教科の合計)×2
2. 各都道府県の通知表の評定分布状況のデータを元に、各教科の平均評定をそれぞれ出す例)国語:(5×12.3)(4×23.0)(3×46.6)(2×14.1)(1×4.0)/100=3.3※小数点第二位で四捨五入する
3. 各教科の平均値を1の計算方法に当てはめる主要5教科の平均評定の合計3.3+3.2+3.2+3.2+3.2=16.1
副教科4教科の平均評定の合計を2倍(3.3+3.3+3.3+3.3)×2=26.4
内申点の合計16.1+26.4=42.5
したがって、東京都立高校受験における東京都内公立中学生の内申点の平均は42.5点

このように、通知表の評定分布の詳細なデータが公表されていれば、上図のように内申点の平均を出すことが可能です。

ただし、他の都道府県では上図のように詳細なデータを公表しているところは少ないため、自分の都道府県での内申点の平均を算出するのは難しいでしょう。

しかし、内申点の平均がわからなくても気にする必要はありません。なぜなら、重要なのは内申点の平均を知ることよりも、自分の内申点を知って今の自分の現状を知ることだからです。

その理由については、次の章で詳しく解説していきますね。

【評定がオール3は、平均ではなく平均以下なので要注意!】
「評定がオール3なら内申点の平均くらいかな」と思う方もいるでしょう。しかし、オール3は平均ではなく平均以下のケースが多いです。
現在の通知表の評定は、相対評価から絶対評価に変わり、個人が平等に評定されているためです。
相対評価とは:あらかじめ割合が決まっているものに当てはめて評価すること(例:評定で、5は15%・4は20%・3は40%・2は15%・1は10%などと決まった割合の中で生徒さんの評定を割り振る)絶対評価とは:もともと決められた基準に沿って評価すること(例:テストの点数が、90点以上は5・80~89点は4・60~79点は3・40~59点は2・39点以下は1など、決められた基準で生徒さんを評定する)
現在は絶対評価によって評定されているため、3が平均という訳ではなくなりました。
令和6年の東京都公立中学校に通う中3の評定の平均は「東京都の評定状況の調査結果」のデータより、3の次に4の評定が多く、オール3より上が平均値と考えられます。実際に計算した上表の結果でも、各教科の平均は3.2~3.3となっており、オール3より高いです。
オール3は内申点の平均より下であるケースも多いので「オール3だから平均」と油断しないように注意しましょう。

2. 中学生の内申点は平均ではなく志望校とのギャップを知ることが重要

内申点の平均について、理解できたでしょうか。

前章で述べたように、高校受験の内申点の比重は受験する学校や受験方法によって変わるため、全体で算出される平均を知っても、自分の受験とはあまり関係がありません。

そこで大事なのは、内申点の平均よりも、志望校の内申点と自分の内申点のギャップを知ることです。

その理由について、内申点の比重が変わる要素である以下2点より説明していきます。

【内申点の比重が変わる要素】
・受験する学校
・受験方法(推薦入試か一般入試かなど)

それぞれ見ていきましょう。

2-1. 内申点の比重が変わる要素①受験する学校

1-1. 中学生の内申点は都道府県や学校によって異なるでもお伝えした通り、同じ都道府県の公立高校であっても、学校によって内申点の影響度は異なります。

下表は、神奈川県公立高校の一般入試における内申点と学力テストの割合の一例です。

【学校別・内申点と学力検査の割合の違い】

高校内申点学力検査
横浜翠嵐高校
鶴見高校
白山高校

参考:神奈川県「公立高等学校入学者選抜選考基準」

横浜翠嵐高校は内申点の割合が3割なのに対して、白山高校は内申点の割合が7割もあります。

同じ神奈川県の公立高校であっても、学校によってこれだけ内申点の影響度は異なってくるのです。

例えば、内申点があまりよくなかった場合、内申点の比重が大きい白山高校を受験すると、合格が厳しいかもしれませんよね。

2-2. 内申点の比重が変わる要素②受験方法(推薦入試か一般入試か)

推薦入試か一般入試かなど、受験方法でも内申点の影響度は変わってきます。

例えば、東京都立高校の推薦入試と一般入試の一般的な点数配分は以下のようになっています。

推薦入試では内申点の割合が50%もあるのに対して、一般入試では内申点の割合が30%となっています。

仮に内申点が低かった場合、内申点の割合が低く、当日の学力テストで挽回できるチャンスのある一般入試の方が合格できる可能性が高いといえます。

このように、受験する学校や受験方法によって内申点の影響度は大きく変わるため、内申点の平均を知っても、あまり意味がないのです。

大事なのは、内申点の平均を知ることよりも、志望校の内申点の目安と自分の内申点のギャップを知ることです。ギャップを知って、必要であれば早急に内申点を上げる対策を打つことが大事です。

3.  【全体像】自分の内申点が足りているか確認する方法

Business accounting concept, Business man using calculator with computer laptop, budget and loan paper in office.

ここまで内申点について説明してきましたが、実際に自分の内申点を都度計算するのは複雑で、調べるのも大変ですよね。

そこでおすすめの確認方法は、学校の先生や塾の先生に相談することです。

なぜなら、学校の先生は実際に調査書(内申書)を作成するため、内申点について熟知しているはずだからです。また、塾も独自のデータベースなどを保有している可能性があるため、内申点と志望校の差分がわかる可能性が高いからです。

例えば、公立高校の場合、内申点による合格ラインは公式に発表されていないため、内申点から合格基準を判断することは基本的にできません。

ただし、進学塾によっては独自の基準で内申点を算出している場合があるので、その進学塾では内申点での合格レベルを確認することができるでしょう。

例えば、湘南ゼミナールでは、独自のデータを用いて、以下のように校舎のある地域の公立高校の内申点の目安を算出しています。

【神奈川県公立高校の内申点の目安(一部抜粋)】

内申点目安学校名
126~130【オール5】
(内申点135)129 湘南
127 川和
126
横浜翠嵐
126 柏陽
116~120119 光陵
119 横浜国際(国際)
119 横浜国際(IB)
119横須賀
118 鎌倉
117 横浜市立金沢
117 平塚江南
117 大和
116 横浜市立横浜サイエンスフロンティア
116 神奈川総合(個性化)
116 神奈川総合(国際文化)

参考:湘南ゼミナール「令和6年度神奈川県公立高校内申目安」

進学塾によってはこのようなデータをインターネットで公開していることもあるので、内申点からの合格ラインをおおよそ知ることができる場合もあります。

ただし、その情報も関東圏や主要都市など一部地域に限られていたり、最新の情報でなかったりするので注意しましょう。

すでに塾に通っている場合は、塾の先生に気軽に質問できますが、塾に通っていない場合は学校の先生に尋ねてみましょう。

とはいっても、どうやって先生に相談すればいいのかイメージがつかないですよね。具体的には、以下のステップを踏んで相談してみましょう。

学校の先生に志望校との内申点の差を確認するための2ステップ
ステップ1:志望校の候補を3~5つ出す
ステップ2:先生に質問しにいく

次章で詳しく説明していきます。

【自分で内申点を計算したい人はこちら】
自分で内申点を計算したい場合は、下記記事にて詳しい計算方法を解説しているので、チェックしてみてくださいね。
中学内申点の出し方とは?計算方法と内申点をアップする3つの重要対策

4. 【STEP1】志望校の候補を3〜5つ出す

何度もお伝えした通り、高校受験における内申点は都道府県や学校によってさまざまです。漠然と先生に質問しても、回答を得るのは難しいでしょう。

まずは、志望校の候補を3~5つほど出してみましょう。まだ志望校が決まっていないという方は、仮でもいいので、志望校をいくつか決めてから先生に質問しにいくとスムーズです。

志望校の選び方については、以下のポイントを参考に決めるのがおすすめです。

志望校を選ぶ際のポイント
・自分の学力に近い(合格圏~自分よりも上のレベル)学校を10個ほどピックアップし、その中で興味のある学校に絞る
・興味のある学科があれば、その学科のある学校を選ぶ
・高校でやりたいことを叶えられる量の多い学校を選ぶ(例:甲子園に行きたいから野球部の強い学校にするなど)
・「達成したい将来像」や「自分の得意・不得意」、「自分に合う環境」など、自分の中で大切にしたい価値観の優先順位を決める

このようなポイントを参考に、志望校の候補を3~5つほどに絞ってみましょう。

志望校の選び方について、詳しくは下記記事で解説しているので、選び方の参考にしてみてくださいね。

【失敗しない志望校の選び方の参考記事はこちら!】
【2023 高校受験】❝ 失敗しない ❞ 志望校の選び方 /自己決定が受験成功の鍵
学校を比較し志望校を選ぶ際のポイント
6月・失敗しない志望校の選び方

5. 【STEP2】先生に質問しにいく

志望校の候補が決まったら、先生に質問してみましょう。

具体的には、以下のような質問をするといいでしょう。

質問AとBとCを志望校にしています。今の自分の内申点では、この志望校には行けそうですか?

このように相談すると、スムーズに先生もアドバイスしてくれますよ。

学校の先生と塾の先生は受験の一番の応援者なので、志望校に合格するために、親身になって相談を聞いたり、合格するために手伝ってくれたりするでしょう。

応援者であることを忘れず、少しでもわからないことや不安なことがあれば何でも聞いてみてくださいね。

もし、先生に相談して内申点が足りないと言われた場合も、心配はいりません。どうすれば良いかは次章で解説しているので見てみてくださいね。

内申点が足りている場合でも気を抜かず、勉強を頑張ろう
「現状では、内申点が志望校に足りている」と言われた場合でも、油断は禁物です。
受験方法にもよりますが、内申点は高校受験の審査の一部であり、学力検査の結果を重視するケースが多いためです。内申点が良くても入試本番のテストの成績が悪ければ、合格できない場合もあります。
そのため、現時点で内申点が足りていても、気を抜かずに勉強を頑張りましょう。高校受験の勉強はどのようにすればよいか、下記記事も参考にしてみてくださいね。
【すぐできる】高校受験の勉強法5つと科目ごとの勉強のコツを紹介高校受験は夏休みで決まる!合格するための過ごし方や勉強法を解説

6. 内申点が足りない!となった場合も諦めなくて大丈夫

先生に確認した結果、現時点で志望校に自分の内申点が達していないというケースもあります。その場合、志望校を変えるべきなのか・志望校は変えずに挽回を目指して頑張るのか判断に悩みますよね。

結論、現時点で内申点が足りなくても、合格できる可能性は十分あります。これまでお伝えしているように、内申点は審査基準の1つであり、内申点があまり影響しない学校や受験方法もあるからです。

具体的には、以下のケースの場合は内申点が足りていないなくても合格できる可能性が高いでしょう。

【内申点が足りていなくても合格できるケース】
・内申点は足りないが学力検査などの点数が良い
・内申点は足りていなくても倍率が低く合格ラインにいる

しかし、このような場合でも、内申点が足りないまま受験の時期を迎えるのは不安ですよね。少しでも合格する可能性を上げるための対策を打っておきたいものです。

どのような対策をすればよいかは、下図のように受験までの時期や内申点の評定範囲によっても関わってきます。

例えば、東京都立高校の受験での内申点は、以下のように中3の2学期のみが評定範囲です。

そのため、中3・2学期の定期テストで良い点数を取ったり学習態度などを見直したりすれば、2学期の評定が高くなり内申点を上げられる可能性があります。

しかし、中学校3年間が内申点の評定範囲の場合は、中3の2学期から評定を上げようと頑張っても難しいでしょう。

また、当日の学力検査の点数を上げるために今から勉強を頑張るにも、もう受験まで日にちが短ければ、学力アップも難しいですよね。

受験まで時間がない場合は、別の方法で合格を目指すしかありません。具体的には、以下のような対処法があります。

内申点が足りない場合の対処法
1. 学力検査(筆記試験)で高得点を獲得する
2. 特色検査で高得点を獲得する(神奈川県の場合)
3. 内申書の「点数以外の記載部分」評価を上げる
4. 合格できそうな高校を併願受験しておく
5. 明らかに点が足りない場合は志望校を変更する

内申点が足りない場合の対処法については「高校受験で内申点が足りない!5つの対処法と今から内申を上げる方法」で詳しく解説しているのでご確認ください。

まだ受験まで時間がある場合は、次章で解説する内申点を上げる方法を参考に、内申点アップを目指しましょう。

7. 今から内申点を上げる5つの方法

ここまで読んで、自分の内申点では志望校に合格できそうか、判断できたのではないでしょうか。

・どうしても行きたい志望校がある

・このままでは高校受験合格が危ない

という場合、これから頑張って内申点を上げなければなりません

この章では、今から内申点を上げる5つの方法について解説していきます。高校受験合格に向けて、確認してみてくださいね。

なお、内申点の評点(通知表の5段階評価)は、以下の3つの観点から評価されています。これら3つの評価を上げることで、内申点を上げることができますよ。

【通知表の評価3つの観点】

参考:国立教育政策研究所「学習評価の在り方ハンドブック」(小・中学校編)(令和元年6月)

この3つの観点を踏まえたうえで、具体的には、以下の5つの点を意識しましょう。

内申点を上げる5つの方法
・定期テストの点数をあげる・副教科にも真剣に取り組む
・授業に積極的に参加する
・宿題や提出物は期限を守り、真剣に取り組む・忘れ物をしない

それぞれ解説していきますね。

7-1. 定期テストの点数を上げる

内申点を上げるために一番重要なのが、定期テストの点数を上げることです。

テストの点数は、評価をつける際に一番判断しやすいポイントのため、定期テストの点数が上がれば内申点も高くなりやすいでしょう。

定期テストの点数を上げるためには、具体的に以下のように勉強しましょう。

【定期テストの点数を上げるための学習方法】
ステップ1:教科書を読むステップ
2:問題を解くステップ
3:問題を解き直す(ワークを3周する)
詳しい学習方法については、以下記事をご覧ください。
【完全版】定期テスト対策|中学・高校生が90点を取るための勉強法

定期テストは、学校で習ったことの復習である場合が多いです。そのため、教科書をおさらいし、学校で解いたワークなどの練習問題を理解するまで繰り返し解くことで平均点以上の点数は取れるようになります。

さらに、定期テストの点数を上げると、基礎学力が向上するので、高校受験の学力テストの点数アップにも繋がります。日々の勉強・定期テストを鵜呑みにせず、コツコツと勉強をしていきましょう。

7-2. 副教科にも真剣に取り組む

内申点を上げるためには、副教科にも真剣に取り組みましょう。

主要5教科:英語・数学・国語・理科・社会の5教科
副教科:音楽・美術・保健体育・技術家庭科の4教科

都道府県や学校にもよりますが、内申点には主要5教科と同等もしくはそれ以上に副教科が大きく影響するケースが多いからです。

先ほども紹介した、東京都立高校入試の内申点の計算方法を見てみましょう。

【東京都の内申点の計算方法】

東京都立高校の場合、副教科の4つは点数が2倍になっており、主要5教科よりも配点が高くなっています。副教科は内申点に大きく影響するため、副教科を頑張ることで内申点は上がりやすいのです。

副教科の評価を上げるためには、以下の点を意識しましょう。

【副教科の内申点を上げる方法】
・日頃の授業をまじめに頑張る
・テストの点数を上げる

副教科の内申点を上げるには、日頃の学習態度・テストの成績どちらも重要です。

たとえ運動が苦手だったとしても、授業に積極的に取り組み、テストで良い点を取れば評価を上げることができます。

そのため、苦手な分野だったとしても、実技とテストに一生懸命取り組みましょう。

7-3. 授業に積極的に参加する

授業に積極的に参加することも大切です。こちらは評価基準の「2. 思考・判断・表現」「3. 主体的に学習に取り組む態度」に影響します。

テストの成績はもちろん重要ですが、日頃どのような態度で授業を受けているかも評価の大きな判断ポイントになります。

授業には、以下のような姿勢で取り組みましょう。

【授業中にとるべき姿勢】
・手を挙げて発言する
・わからない部分は質問する
・話している先生の目を見て、うなずきながら授業を聞く

この中で、挙手して発言したり質問したりするのが、一番先生にアピールできます。授業を集中して聞いて、先生に尋ねられたことに答えたり、自分で疑問に思ったことを聞いてみたりしてみましょう。

また、中には人前で発言するのが苦手な生徒さんもいます。その場合は、挙手して発表しなくても、先生の目を見て、うなずきながら話を聞くことで、授業に意欲的に参加していることが先生に伝わるでしょう。

テストで良い点を取るのは時間がかかりますし、簡単にできることではありません。しかし、手を挙げて発言したり、うなずいて話を聞いたり、質問するのは今日から実践できますよね。

まずは、できることから今すぐ取り掛かってみてくださいね

7-4. 宿題や提出物は期限を守り、真剣に取り組む

宿題などの提出物は、期限を守り、真剣に取り組みましょう。

提出物の期限を守り、まじめに取り組むことで、その科目に真剣に取り組んでいることをアピールできます。こちらは「3. 主体的に学習に取り組む態度」に影響します。

例えば、以下のような2人の生徒さんがいたとします。

・Aさん:国語のテストで毎回90点をとるが、授業中の居眠りが多く、宿題もほとんどやってこない
・Bさん:国語のテストは毎回75点だが、授業中に積極的に発言し、宿題も期限を守ってまじめに取り組んでいる

テストの成績だけを見ると、Aさんの方が評定は良くなるでしょう。しかし、評定はテストだけでなく、授業中の態度や提出物への取り組みも加味されます。

そのため、Bさんの方がAさんより評価が高くなることは大いにあり得るのです。

学校の先生は、これまで何十人・何百人という人の提出物を見てきています。提出物を見れば、真剣に取り組んでいるのかどうか、ひと目でわかるでしょう。

ただ単に期限を守るだけでなく、自分なりに一生懸命考えて、真剣に取り組みましょう

7-5. 忘れ物をしない

授業に忘れ物をしないことも心がけましょう。

忘れ物をしてしまうと、授業に意欲的でないと判断されてしまうだけでなく、その授業を受かられなかったことで評価できない場合もあるためです。

例えば、プールの授業に毎回水着を忘れてしまった場合、プールの授業は受けられません。実技を受けられないと、その評価はまったくできないことになってしまいます。

忘れ物をしてしまうと、単に意欲的でないと思われるだけでなく、実技などの評価もできなくなってしまい、内申点が下がりやすくなってしまいます

内申点を上げるためには、まず授業に忘れ物をしないように気をつけましょう。

8. 内申点を上げるだけでなく学力の向上も大事

ここまでで、自分の内申点はどれくらいなのか、内申点を上げるにはどうすればよいのかわかったのではないでしょうか。

ここまで内申点について解説してきましたが、内申点を上げるだけでなく、学力を向上させることも忘れてはいけません

基本的に高校受験では、内申点よりも学力検査の結果を重視するケースが多いからです。そのため、たとえ内申点が良くても、学力検査の結果が悪ければ合格できない可能性は大いにあります

下表のように、横浜翠嵐高校を受験する場合と白山高校を受験する場合とでは、内申点の影響度が大きく変わります。

【学校別・内申点と学力検査の割合の違い】

高校内申点学力検査
横浜翠嵐高校
鶴見高校
白山高校

参考:神奈川県「公立高等学校入学者選抜選考基準」

公立高校の場合、一般的には内申点:学力検査の比重は、3:7~5:5のケースが多いです。そのため、内申点を上げる努力をするだけでなく、学力向上も頑張りましょう。

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9. まとめ

いかがでしたか?

内申点のおおよその目安や、自分の内申点から現状を知ることができたのでないでしょうか?

最後にこの記事をまとめますと

◎内申点の平均を知っても、志望校合格にはあまり意味がない。

大事なのは、自分の内申点と志望校の内申点のギャップを知ること。

◎内申点だけでなく、学力テストで良い点数をとることも大事

◎今から内申点をアップさせるには

・定期テストの点数を上げる

・副教科にも真剣に取り組む

・授業に積極的に参加する

・宿題や提出物は期限を守り、真剣に取り組む

・忘れ物をしない

この記事を元に、自分の内申点から自分の立ち位置がわかり、志望校へ合格できることを祈っています。