湘ゼミコラム

高校受験・入試

入試分析と科目別おすすめ勉強法 国語編

2018.07.05

こんにちは!

前回に続き、湘ゼミ生のための入試結果分析と勉強方法をお届けいたします。今回は国語について、湘南ゼミナール国語科兼社会科コンテンツリーダー伊藤宏樹先生のアドバイスをお伝えいたします。

読書習慣がなくても公立高校入試問題は解ける?!

国語の話をするときに、よく取り上げられるのが読書や読書習慣についてでです。

東大生は小学生のときに何々の本を読んでいたとか、黙読より音読がよいとか、様々な説やメソッドがあります。

高校入試で合格点をとることを目的においた場合、原則として読書しているに越したことはありませんが、

気をつけたいのは必ずしも読書習慣=国語力向上・得点力向上ではないということです。もちろん、読書は語彙を増やしたり、活字に慣れるのには極めて有効です。
文章読解問題は、必ずしも知っている語句や、分かり易い表現ばかりではありません。語彙力が高いほど、文脈判断で推測しなくてはならない箇所を減らし、早く正確に読むことができるでしょう。

ただし、公立高校入試の国語では、問いに対する答えを客観的に考える作業が多く、論理的に考えられれば解けるようになっています。
実際、読書習慣がなくても、ある程度の語彙力と論理的思考力があれば解けるのです。(国私立や都立の自校作成問題は、この限りではありません。)

以下、公立入試突破のためのお奨めの学習方法について単元別にご紹介いたします。

漢字・語彙(ごい)の練習は効率良く

湘ゼミでは、毎回の授業で漢字でテストがあります。漢字の練習方法は人により結構千差万別だと思いますが、
最も一般的なのは、1つの漢字について繰り返しノート1行分書くという練習方法ではないでしょうか。

小学校や中学校においては、何度も何度も繰り返し書くことは大変意味があると考えます。算数の九九と同様で、血肉となるレベルでしみ込ませために必要なことだからです。

しかし、塾は複合的な得点力を上げる場です。ですから、漢字だけに時間をかけすぎないように注意し、その分の時間を各教科でバランスよく当ててほしいと思います。その視点で言えば、同じ漢字を何度も手で書いて練習するのは時間効率的にあまりよくありません。

覚えるべき漢字が10個であれば、その10個を1回ずつ書いて、覚えるまで何周かするというやり方のほうが効率がよいでしょう。

覚えられるなら無理に20回、1行分、などと決める必要はないのです。もちろん覚えたかどうかはその後確認してみる必要があります。

また、語彙力を高めるひと工夫として、読解問題や漢字で知らない言葉が出てきたら意味調べして、実際に普段の会話の中に入れてみましょう。

漢字に限ったことではありませんが、頭に入れたものは取り出す機会が多いほど覚えやすくなります。

読書した内容や、歴史の流れなど、他のことにも応用してみましょう。学んだことを実生活で使ったり、他者に話してみたりすることで、忘れることのない知識(知恵)となるはずです。

平成30年度神奈川県共通選抜入試結果(全日制)での比較

『国語 問1漢字の読み書き 平均得点率』

神奈川県全受験者 75.3%

湘ゼミ生 85.6%

『国語 問1漢字の読み書き(ア)(1)「岐路」の読み 平均得点率』

神奈川県全受験者 80.8%

湘ゼミ生 98.9%

※総合進学に通う開示得点のある生徒のみ

読解の練習で量をこなすよりも大切なこと

国語の得点力は、正しいフォームで練習することが大切です。数だけこなしてもなかなか得点力は伸びません。一方、その子オリジナルの解き方をちょっと変えてあげると一気に伸びることもあります。そういった意味では1人で学習するには一番難しい科目かもしれません。

書店には大学入試や中学受験用の国語読解力アップのメソッド本がたくさん並んでいますが、実は高校入試のものはそれほど多くありません。大学入試のメソッドは項目が多すぎて中学生が自力でやるには難しく、中学受験のメソッドも難易度が高いものになっております。

公立高校入試では、苦手な子でも平均点まで引き上げることは充分可能です。読解の手順を自分で説明できるように問題を解き、間違えた場合はその過程のどこでエラーが起きたのかを確認する。大学受験のや中学受験のメソッド本を買って無理にノウハウを学習しなくても、そのような丁寧な手順確認作業を授業やマンツーマンでやれば次第に点数がとれるようになります。

この間違いはケアレスミス?読解力の不足?

国語のミスは「ケアレスミスだったね。」で済まされがちです。

実は、国語でのケアレスミスによる誤答は、それほど多くありません。国語のケアレスミスは『分かっている条件を満たせなかったミス』です。例えば、条件部分に線を引いて意識しているにも関わらず「”当てはまらない”ものを選んでいない。」「最後に丸(句点)をつけていない。」「字数を守っていない。」「指定語句を使っていない。」などのミスをしているのはケアレスミスです。

読解問題で誤答する原因として最も多いのは、『発問の意図を正確に理解していないこと』と、『本文の読み取り不足』です。言い換えれば、文章題を作成した著作者と、問題を作成した作問者の意図の理解不足といえるでしょう。これらで誤答する場合、ケアレスミスではありません。読解力や発問の理解不足で起きたエラーです。

ですから、 当たり前の手順をしっかりプロセス化してあげることが非常に重要なのです。

湘ゼミ生は普段の授業や模試を通して、とれなくてはいけない問題を確実にとることの難しさや大事さを知っています。以下の入試結果はその一端を表しています。

平成30年度神奈川県共通選抜入試結果(全日制)での比較

『国語 問5資料読取作文(ア) 平均得点率』

神奈川県全受験者 81.5%

湘ゼミ生 93.4%

※総合進学に通う開示得点のある生徒のみ

集中力を高めるには

誤答を防ぐためには、集中して読むことが肝心です。集中が散漫だとやはり大事な部分を見落としてしまいます。高校入試では50分の試験を45分間で解き終わる集中力が必要になります。

集中力はトレーニングで伸ばすことができます。賑やかな場所で、集中を乱さずに読めるかどうかが一つの指標です。

練習方法は色々ありますが、お奨めは、読解に取り組む前に「絶対に満点をとる!」「この問題だけはとる!」「この10分だけはやり切る!」など、『覚悟を決める自己暗示』をかけてみることです。最初は上手くいかないこともあると思います。

「次第にできるようになる。集中した上で間違えた問題なら仕方ない。」と割り切り、切り換える。そのくらい集中することに力を注いでください。

作文はまず型から~湘ゼミ作文講座の威力~

湘ゼミでは基本的に小学生は毎月、中学生は講習ごと学期末ごとに作文・記述練習の授業があります。添削だけではなく、授業とセットで行っているのが湘ゼミ作文講座の大きな特徴です。

中学生はもちろん、小学校低学年でも型を学べば大半の作文形式を書き上げられるようになります。小学生から通っている湘ゼミ生は、鍛えに鍛えられており、400字程度の作文であればサッと書き上げてしまいます。湘ゼミの国語科講師が小2の娘さんに書き方を教えたところ、学校で課されている日記を物凄い速度で書き上げられるようになり、勢い余って明日の日記まで書いてしまった、というエピソードがあるほどです。

オリジナリティー発揮は型があってこそです。型を守って、破って、離れる。守破離の順で極めてゆきましょう。湘ゼミでは毎年夏に、作文コンクール『日本語大賞』へ応募しており、文部科学大臣賞(最優秀賞)には2年連続で湘ゼミ生が選ばれています。

いかがでしたか。

もうすぐ夏期講習! 自分の課題にじっくり取り組んで大幅にレベルアップするチャンスです!

毎年、夏休み後に格段の伸びを実感する生徒さんがいます。

日本語大賞の応募も始まります。奮ってご参加ください!