湘ゼミコラム

高校受験・入試

高校受験に打ち勝つ!内申点の仕組みや内申点を上げるポイントについて解説

2019.04.22

高校受験は、入試当日の筆記試験の良し悪しだけでなく、内申点によっても結果が大きく左右されることをご存じでしょうか。実は、筆記試験の結果が望むようなものでなくても、内申点が高ければ挽回のチャンスが残されているのです。今回の記事では、入試に臨む前にぜひ知っておきたい、内申点を下げてしまう要因や内申点を上げるポイントについて詳しくご紹介していきます。

内申点とは

はじめに、「内申点とは一体どういうものなのか」「どうやって決まるものなのか」について確認していきましょう。内申点について理解を深めていけば、高校受験のためにいかに重要なものなのかが理解できるはずです。ただし、都道府県ごとに制度が異なるので注意しましょう。詳細を知るには、子供が通っている中学校に聞いてみる必要があります。

内申点の仕組み

高校を受験する際には、生徒の学校生活の様子を記載した「調査書」が中学校によって作成され、高校に提出されます。調査書に書かれるのは、部活動や委員会での活動の様子や所有している資格や検定など、多岐に渡ります。その中でも、特に各教科の成績を点数として表したものが「内申点」です。内申点の算出に使われるのは「評定成績」で、これは通知表に1~5の数字で表されるものです。そのため、通知表に書かれる成績が良ければ良いほど内申点は高くなるといえるでしょう。

ただし、算出方法は各都道府県によって異なります。3年間の成績の平均を出すところもあれば、3年生の2学期の成績のみを反映させるところもあります。詳細が気になる場合には、子供の中学校に確認してみましょう。

通知表に記載される内容

公立中学校では、国語、数学、英語、理科、社会の主要5教科と美術、技術家庭科、保健体育、音楽の実技4教科、計9教科を学びます。各教科は、「関心・意欲・態度」「思考・判断・表現」「技能」「知識・理解」などの観点から評価され、それぞれを総合して成績が決まるという仕組みです。5段階評定の出し方は、各観点を「A」「B」「C」の3段階で評価し、それを点数化してその合計点によって決めるのが一般的。各観点の評価にAが多いなら「5」になるでしょうし、Cばかりなら1や2といった評価がされるでしょう。

ただし、学校によっては5段階評定ではなく10段階であったり、ABC評定であったりすることがあるので、必ずしもこの方法とは限りません。1年生の1学期は、実技科目の内申を出さない中学校もあるなど、学校によっても成績の出し方は異なることがあります。

高校受験における内申点の影響

多くの公立高校では、筆記試験と内申点を合わせた総合評価で合否を決定します。志望校合格を目指すなら、内申点も上げておきたいところです。内申点アップには、普段の授業や定期テストに積極的に取り組む必要があります。大変に思う人もいるでしょうが、内申点を上げておけば筆記試験で思うような点数が取れなかったとしても、合格のチャンスを残すことができます。ただし、あくまで公立高校での話であり、国立高校や私立高校はこの限りではありません。特に上位校の場合、内申点は一切考慮せず、筆記試験のみで合否を決めるところもあるため注意しましょう。

この場合、それまで成績が芳しくなかった人でも一発逆転が狙えるのでいろいろな人にチャンスがあるといえます。しかし、試験でうまくいかなければ挽回のチャンスはありませんので、非常にプレッシャーのかかる方法です。一方で、私立の中堅校の場合は内申点のみで合否の判断をする制度を採用している高校もあります。受験する高校によって、その重要性は異なりますが、内申点を意識することが重要なことは変わりありません。

内申点の計算方法

内申点の算出方法は、各都道府県によって異なります。ここでは、例として東京都のケースを見ていきます。東京都公立高校では一般入試と推薦入試の2つの受験方法があります。それぞれの場合で内申点がどのように影響するのか、また偏差値との関係についてもご説明します。

一般入試と推薦入試

高校を受験するときには、「推薦入試」もしくは「一般入試」で試験を受けます。学校や都道府県によって呼び名が異なることはありますが、基本的なシステムは同じです。一般入試は筆記試験によって学力を測り、それに内申点を加味して合否を決めます。それに対し、推薦入試は小論文や面接などを行い、それに内申点もあわせて合否が判断される受験方法です。高校ごとに「推薦基準」があり、その基準を満たした生徒が学校からの推薦を受けて出願できます。ただし、推薦基準を満たしているからといって絶対に合格できるわけではありません。

あくまで受験する権利を得ただけであり、小論文などで良い評価を得られなければ落とされることは十分にあり得ます。ちなみに、内申点は9評価の評定成績を足し、科目数で割ったものが平均です。

東京都の一般入試

東京都の場合、調査書に反映されるのは3年生の2学期の成績です。東京都では、「内申点」ではなく「調査書点」と呼ばれますが、内容は同じです。一般入試の場合、「換算内申」という計算方法で内申点が算出されます。これは、「主要5教科の評定平均の合計」+「実技4教科の評定平均の合計×2」で計算されます。例えば、主要5教科がオール5、実技4教科がオール4の場合には、25+(16×2)=57が内申点です。そして、筆記試験と内申点は7:3の割合で計算されます。

筆記試験700点に対し内申点300点、合計1,000点満点で点数が算出されるのです。評定成績から導き出した内申点を300点満点で換算するには、(内申点÷65)×300という計算式を使います。さきほどの例では、内申点が57点ですので、(57÷65)×300=263点となります。

東京都の推薦入試

東京都では推薦入試の場合も3年生の2学期の成績が調査書に反映されます。一般入試の場合は「換算内申」方式で内申点を計算しますが、推薦入試では各教科の評定成績を単純に足しただけの「素内申」が内申点になります。9教科×5段階評価ですので、45点が満点です。一般入試は、ここからさらに300点満点での点数を算出しますが、推薦入試の場合にはこの限りではありません。なぜなら、調査書点の満点が学校によって変わるからです。小論文や面接を行う学校の場合、それらとの兼ね合いで満点が決まります。

偏差値と内申点の関係

東京都の一般入試の場合、内申点と筆記試験の合計で合否が判断されます。そのため、どちらかの点数が低い場合にはもう一方で足りない部分をカバーすることが可能です。しかし、偏差値が高い高校を目指すのであれば、内申点も高い評価が求められるのが一般的です。都立の中でも難関校と呼ばれる日比谷高校と八王子東高校を例に見てみましょう。日比谷高校の男子の偏差値は69、それに対し合格の目安となる換算内申は59です。八王子東高校の場合は、男子の偏差値64、換算内申は55程度が合格の目安といわれています。

もちろん、内申点がこの数字に達していなくても受験することは可能です。しかし、周りの受験生はその目安に達している人が多いと考えられます。合格するには、筆記試験でその人たち以上の点数を取ることが求められますからハードルはぐっと高くなるでしょう。

内申点を上げるポイント

このように、都立高校の受験に内申点は大きな影響をもたらします。内申点が足りないせいで、希望する高校より少しレベルを下げざるを得ないことも十分に起こり得ます。自分の選択肢を狭めないためには、ただ漫然と勉強するのではなく内申点アップも目指すべきといえるでしょう。内申点は3年生の2学期で決まりますから、受験直前になって慌てても後の祭りです。3年生になったら、普段から意識しておくことが重要です。具体的には、定期テストで高得点を獲得することが内申点アップへの近道といえます。なぜなら、「思考・判断・表現」「技能」「知識・理解」といった観点は、定期テストによって判定されることがほとんどだからです。日ごろから予習復習を行い勉強することを習慣づけ、計画性を持ってテスト対策を行いましょう。

また、定期テストの他には普段の授業の中でも心がけるべきことがあります。授業中の態度や提出物の提出状況が悪いと、「関心・意欲・態度」の観点で低い評価がつけられてしまう可能性があります。いくらテストの点数が高くても、授業中に先生の話を聞いていなかったり、頻繁に忘れ物をしたりする生徒に良い成績をつけようと先生は思うでしょうか。答えは、NOです。普段の授業から、積極的に取り組んでいきましょう。特定の科目に対し、苦手意識があるとつい消極的になってしまうこともあるでしょう。特に音楽や体育といった実技教科は、その傾向が表れやすい科目ですが、大事なことは一生懸命取り組む姿を見せることです。そういった姿を見れば、「意欲的に授業に参加している」と先生も感じることでしょう。

加えて、部活動や生徒会活動など学習以外の学校生活にも力を入れることも重要です。こういった活動は、調査書にある「特別活動」「その他特記事項」といった項目に記入できます。それだけで合否が決まることはありませんが、プラスアルファとして印象アップにつながることが期待できるでしょう。また、英検や漢検といった外部検定の成績によって加点があることもあります。英語に力を入れている私立高校では、TOEICの点数や所有している英検の級数次第で、英語の試験が免除になるところもあるほどです。もちろん、それによって日々の学習がおろそかになってしまっては元の木阿弥ですが、できることはどんどんやっていきましょう。

内申点を下げてしまう要因

生活態度が悪かったり、遅刻ばかりしていたりなど、次に挙げるようなことを繰り返していると、内申点がどんどん下がってしまう恐れがあります。少し気をつけるだけで防げることばかりですから、子供と一緒によく確認しておきましょう。

遅刻や欠席が多い

年間10日ほどであれば、欠席も遅刻もそれほど問題にはなりません。もちろん、だからといって遅刻や欠席をしていいわけではありませんので、しかるべき理由がない場合には、欠席も遅刻もしないように心がけましょう。もし、年間60日以上の欠席があると受験時に不利になってしまうことがあります。もちろん、病気やケガなどどうしても登校できない事情があった場合には、仕方のないことだと判断してもらえるでしょう。そのため、「長期間休んだこと」自体が不合格の理由にはならないはずです。

しかし、登校日数が少ないと授業内容についていけずに成績が伸び悩んだり、先生が評価するべき情報が少なかったりと、結果的に内申点が下がりやすくなる恐れがあります。日ごろから体調管理を怠らず、毎日元気に学校に通えるように心がけましょう。

宿題や提出物の期日を守らない

たとえ、定期テストで満点を取っていても、宿題や提出物をきちんと出さないと良い評価はもらえません。なぜなら、授業に対して関心を持って積極的に取り組んでいるように見えないからです。締切日を守って提出しましょう。また、内容にこだわることも重要です。例えば、授業ノートを提出するなら、「丁寧な字で書く」「授業中に先生が言ったポイントをしっかり書き込んでおく」「自分なりに調べたことをまとめる」といったことをすれば、見た目もきれいで高評価につながります。「ただ提出すればいい」のではなく、クオリティの追求も忘れないことがポイントです。そのためにも、締切日ぎりぎりになってやりはじめるのではなく、余裕をもって取り組むようにしましょう。

授業態度や生活態度が悪い

先述の通り、「関心・意欲・態度」の観点は、授業に臨む姿勢や生活態度から判断されます。こういった部分は、定期テストの結果からだけでは判断できませんから、日ごろの行動が判断基準になるのです。悪い評価につながる例としては、「授業開始時に席についていない」「ノートも開かず、ぼーっとしている」「おしゃべりや居眠りをしている」「別の科目の勉強をしている」などが挙げられます。こういったことをしていると、授業に対して関心が低いと思われても仕方ありません。また、服装がだらしないなど生活態度が悪いとそれだけでやる気がないように見えかねません。評価アップを目指すなら、身だしなみにも気をつけて積極的に取り組む姿勢を見せましょう。

内申点の仕組みや勉強法を理解して高校受験合格へ繋げよう

内申点は、高校受験の結果を左右しかねない非常に重要なものです。内申点の仕組みを理解し、上げる努力をすることで志望校合格へと一歩近づくことができるでしょう。まずは、普段の授業をしっかりと受け、定期テストで高得点を狙うところからはじめてみてはいかがでしょうか。

湘南ゼミナール総合進学コースでは、生徒さんの通う中学校ごとに定期テスト対策を行う「中学校別定期テスト対策講座」を実施しています。各中学校の、各教科のテストの特徴を熟練講師が分析し、定期テスト前になると通常授業とは別に、その対策授業を行います。
体験も可能ですので、まずは近隣にある教室がお通いの中学校の定期テスト対策講座を実施しているか、是非お問い合わせください。