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高校受験・入試

高校受験の倍率とは?誤解されやすい倍率の正しい捉え方を詳しく解説

高校受験において、「志望校の倍率が高いから不安」「倍率が低い高校にした方が良いかな?」など、倍率を見て不安になる方も多いかもしれません。

高校受験の倍率は、「〇人に1人が合格する」ということを示しています。例えば10倍なら「10人に1人が合格」、2倍なら「2人に1人が合格」という意味です。

しかしながら、「倍率が高い=難易度が高い」とは言えないので、注意が必要です。倍率はあくまで、定員に対して何倍の受験者が集まっているかを示した数値に過ぎず、難易度とはイコールではありません。

この記事では、高校受験において、倍率をどう捉えればいいかを解説していきます。

併願受験する受験生が多い私立の場合、志願者倍率と実質倍率が大きく開くことがあります。志願倍率が多くても不安にならず「実質倍率」を参考にしましょう!

倍率は、あくまで志望校を決めるためのひとつの判断基準でしかありません。この記事を読んで、高校受験における倍率の正しい捉え方を身に付けましょう。

高校受験における「倍率」とは、定員に対して何倍の受験者が集まったかを示しています。


倍率 = 受験する人の数 ÷ 募集定員


もっと簡単にいうと「〇人に1人が合格する」という意味になります。

・4倍なら「4人に1人」が合格する
・2倍なら「2人に1人(半数)」が合格する
・1倍以下なら「全員」が合格する(※)
ということです。

※ただし、倍率が1倍未満の「定員割れ」の状態であっても、高校が「足切り点数」を設定している場合は、成績が著しく悪い受験生は落ちる可能性があります。全員受かるとは限らないので注意しましょう。

例えば、以下は、実際の高校の倍率を示した例です。約3.7倍の明治大学付属中野八王子高校の場合、受験者417人のうち114人が合格し、約3.7人に1人が合格したということを表わしています。

【高校の実質倍率の実例(2023年度実績)】

高校名実質倍率(最終倍率)
明治大学付属中野八王子高校(東京・都立)一般入試約3.7倍 
横浜翠嵐高校(神奈川・県立)約1.79倍
東葛飾高校(千葉・県立)約1.96倍

高校受験の平均倍率は、公立で1.1~1.5倍程度、私立で2~4倍程度が一般的なので、この平均を超えてくる場合に「倍率が高い」といわれることが多いでしょう。

なお詳しくは後述しますが、倍率はあくまで「どれだけ人が集まっているか」を表しているだけで、難易度を表すものではありません。

高校受験における倍率には、志願者倍率・受験倍率・実質倍率の3種類があり、それぞれの意味を正しく理解しておくことが大切です。

2-1. 志願者倍率・受験倍率・実質倍率とは

倍率には、3種類の倍率(志願者倍率・受験倍率・実質倍率)があります。一般的には、志願者倍率→受験倍率→実質倍率と進む中で、倍率はだんだん低くなります。

【横浜翠嵐高校の2023年の倍率の推移】

志願者倍率(応募した人÷定員)約1.98倍
受験倍率(試験を受けた人÷定員)約1.92倍
実質倍率(試験を受けた人÷合格者)約1.79倍

志願者倍率とは、出願した人数を定員で割ったものです。例えば、定員100名の高校に、198人の受験生が出願した場合、志願者倍率は1.98倍となります。

次に、受験倍率とは、試験当日に実際に試験を受けた人を定員で割ったものです。病気などで試験を受けられなかった方や、他校に合格して試験を受けるのをやめた人が抜けるため、志願者倍率よりも倍率は下がります。

実質倍率とは、試験を受けた人を合格者で割ったものです。合格発表後に発表される最終的な倍率のことで、最も参考にすべき倍率といえるでしょう。

2-2. 私立高校の場合は志願者倍率と実質倍率の差が大きいことが多い

併願されることが多い私立高校は、入学辞退者を見越して定員よりも多めに合格者を出す傾向にあります。そのため、志願者倍率と実質倍率の差がかなり大きいケースがあります。

例えば、志願者倍率は10倍でも、実質倍率は2倍程度に落ち着く、というケースは実際にあります。

私立高校は、毎年の受験データから「何割ぐらいの受験者が辞退するか」を把握しているので、その割合を基に、あらかじめ定員よりも多くの合格者を出すのです。

私立高校を受験する場合は特に、志願者倍率よりも「実質倍率」の方を参考にするようにしましょう。


国公立校受験では、志願者倍率と比べて、実質倍率が著しく下がるようなケースはあまりありません。


高校受験の倍率についての概要がわかったところで、倍率についてのよくある疑問と答えをまとめて紹介していきます。

結論からいってしまうと、志望校の倍率がわかったからといって、その倍率だけ見て合格可能性を判断するのは難しいといえます。

このQ&Aを通して、高校受験の倍率はどう参考にすればいいかわかるはずです。

3-1. 倍率が高い方が難易度が高いってことですよね?

倍率が高いほうが、一見、合格する難易度が高そうに見えますが、一概にはそうはいえません。倍率だけでは判断ができないからです。

例えば、倍率が10倍の高校と、倍率が2倍の高校では、倍率が10倍の高校の方が合格が難しそうに思えます。受験生のレベルがみんな同じ偏差値(例えば偏差値60)の場合は、倍率が10倍と高い高校の方が、合格するのは難しくなります。

しかしながら、例えば、偏差値60の人が、倍率10倍の偏差値50の高校を受ける場合と、倍率2倍の偏差値60の高校を受ける場合では、必ずしも「倍率が高い方が受かりにくく、倍率が低い方が受かりやすい」とは限りません。

合格難易度は、倍率だけでなく、自分の偏差値レベルや志望校の偏差値、他の受験生のレベルや点数分布など、複雑な要素が絡み合って決まります。

合格可能性を適切に判断するには、倍率だけを見るのではなく、多くの受験生が受ける大規模な模試を受けて判断するようにしましょう。

3-2. 倍率が何倍以上だと難しいですか?

こちらも、3-1と同様、「何倍以上だと難しい」とは一概に言えません。

ただ、高校受験の平均倍率は、公立で1.1~1.5倍程度、私立で2~4倍程度が一般的なので、平均を超えてくる場合には、他の同じ偏差値の高校と比べて難しいといえるでしょう。

3-3. 倍率が4倍なのですが必要な偏差値はいくつですか?

倍率だけを見て、偏差値を判断することはできません。倍率4倍が何を示しているかというと、「4人の受験生のうち1人だけが合格する」ということです。

偏差値とは、試験を受けた集団の中で自分がどれくらいの位置にいるかを示す数値のことです。

つまり、偏差値を知るためには、その高校を受験する生徒さんがどのぐらいのレベルにいるかを知る必要があります。

偏差値について詳しくは、「高校受験 偏差値」の記事も読んで理解を深めてください。

倍率が1倍未満、つまり受験者が定員に満たないケース(定員割れ)の場合、計算上は、全員が合格できることになります。

東京都立高校や神奈川県公立高校入試の場合は、足切りがないため、定員割れした場合には全員合格が基本となります。(ただし、試験を受けなかったり面接を欠席したりした場合には不合格となります。)

しかしながら、高校によっては「足切り点数」が設定されており、その基準に達していない場合には不合格になることもあるので注意しましょう。

定員割れの場合にどうなるか、念のため公式情報を確認しておくことをおすすめします。私立高校の場合には、明らかにされていないケースもあるので、学校や塾の先生とも相談してみましょう。

ここまで読んだ方ならば、高校受験の倍率について具体的に理解できたことでしょう。ここからは、高校受験の倍率はどこで確認したら良いのか?」について解説していきます。

高校ごとの倍率は、各高校のホームページに掲載されています。高校名で検索してホームページにアクセスしたら、「入試情報」といったカテゴリに掲載されていることが多いので確認してみましょう。

できれば前年度の倍率だけでなく、過去3年分の倍率を見ておくのがおすすめです。なぜならば、1年おきに倍率が増加・減少を繰り返すことがあるからです。前年度倍率が低い高校には次の年は受験者が集中しやすく、逆に前年度倍率が高い高校は敬遠される傾向があるのです。

公立高校の場合は、都道府県のホームページにまとめて掲載されています。

神奈川県>神奈川県公立高等学校入学者選抜について
千葉県>入試・検査
埼玉県>埼玉県公立高等学校入学者選抜情報
東京都>都立高等学校>入試案内等

なお、湘南ゼミナールの記事でも公立高校の倍率や仕組みなどを都道府県ごとに詳しく解説しています。ぜひ以下記事も参考にしてください。

【2024 高校受験】神奈川 公立高校の入試制度が丸わかり!配点の仕組み・面接・特色検査・日程も詳しくチェック
【2024 高校受験】千葉県 公立高校入試制度が丸わかり!選考基準と問題傾向・内申対策もチェック!
【2024 高校受験】埼玉県 公立高校入試の仕組みを詳しく!学力検査の特徴・内申・模試のポイント

高校受験の倍率とは何か理解できたところで、倍率に関しての注意点を3つご紹介します。ぜひ参考にしてください。

-1. 倍率が低いからといって安心してはいけない

志望校の倍率が低いと、安心してしまう方もいるでしょう。しかしながら、倍率が低いからといって簡単に合格できるとは限らないため、安心してはいけません。

倍率が1.2倍の場合、定員100人なら受験者は120人なので、20人しか不合格になりません。しかしながら、20人は不合格になるのです。

倍率が低く偏差値が高い高校と、倍率が高く偏差値が低い高校では、後者の方が合格しやすいというケースもあります。

倍率が低いからと慢心してしまえば、足もとをすくわれてしまう可能性があるので注意しましょう。

また、倍率が低くても、「3-4. 倍率が1倍未満(定員割れ)なら絶対合格できる?」で解説した通り、

高校が決める合格の条件を満たさなければ不合格になることがあります

倍率が1倍未満の場合も気を抜くことなく、しっかり対策して試験に臨みましょう。

5-2. 志願者倍率を見て変更する場合には他の受験者も同じ動きをする可能性が高い

公立高校の場合、都道府県によっては、入学願書の締切後に公表される志願者倍率を見て、1度だけ志願先の変更ができます。例えば、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の公立高校では、志願変更が可能です。

しかしながら、志願者倍率を見て志願先を変更する場合には、他の受験者も同じ動きをする可能性が高いので十分に注意しましょう。

例えば、同じ偏差値レベルのA高校とB高校があり、志願者倍率がそれぞれ1.5倍と1倍だったとします。この場合、A高校に願書を出していた一部の受験者は、倍率の低いB高校に志願変更をするでしょう。すると、A高校の志願者が減り、B高校の志願者が増えます。

志願変更した受験者は1倍(全員合格)のつもりでも、同じように志願変更する人が多ければ、倍率が1倍よりも高くなる可能性がある点に注意しましょう。

5-3. 倍率はあくまで「参考程度」であり対策をしっかりすることが重要

本記事で解説した通り、倍率はあくまで「定員に対してどのくらい応募が殺到しているか」を示した指標に過ぎません。いくら倍率が高くても他の受験生より高い点数を取得できれば合格できますし、倍率が低くても対策を怠ると不合格になることがあります。

倍率はあくまで「参考程度」に考えて、倍率が高くても問題ない実力をつけることが大切です。

自分が本当に行きたい志望校に合格するためにはどのような対策をすべきか、考えて実行し、合格を勝ち取りましょう。

ここまで解説した通り、高校受験の倍率はあくまで「定員や合格者にたいして、何倍の受験者が集まっているか」を示したものです。

しかしながら、倍率だけを見ても、その高校の難易度や合格可能性が判断できる訳ではありません。

「倍率が高いからやめておこう」「志望校は倍率が低いところにしよう」など、倍率だけを見て志望校を決めるのではなく、偏差値も参考にしながら、自分が本当に行きたい高校を選ぶことが大切です。

倍率が高くても当日までにしっかり準備をすれば十分合格は狙えますし、倍率が低くても油断から失敗してしまう危険性はあります。

定期的に模試を受験し、模試の判定結果も参考にしながら、しっかり準備していきましょう。

次章では、倍率と模試の判定結果を参考にして合格安全度を判断する方法についても解説します。倍率だけでなく、さまざまな情報を組み合わせて、最終的に志望校を決定しましょう。

ここからは、模試の合格可能性(A判定〜E判定)と倍率を見て、合格安全度を判断する方法について解説していきます。

模試のA判定〜E判定が表わすパーセンテージは、受験する模試によって異なることがあります。あくまで参考としてください。

7-1. 合格可能性80%以上(A判定)の場合

模試の判定でのA判定(合格可能性80%以上)は、5段階評価で最も良い判定結果であり、トップレベルの成績を取得できているということがわかります。

「今後も適切に勉強を続けていれば80%以上の確率で合格する」ということを意味しており、かなり合格安全度は高いといえます。A判定を取れていれば、倍率が高くても合格の可能性が高いといって良いでしょう。

ただし、模試の結果に慢心して対策をやめてしまったり、当日緊張しすぎて実力を発揮できなかったりした場合には不合格の可能性がありますので注意してください。

7-2. 合格可能性60%〜80%(B判定)の場合

合格可能性60%〜80%(B判定)は、十分に合格可能圏内とされる判定です。こちらもA判定と同様、倍率がある程度高くても、十分に合格を狙える範囲にいるといって良いでしょう。

A判定を取った受験生は、より上位の高校を志望することが多いため、実際に志望校を受験するのはB判定やC判定の受験生が多いと考えられるからです。

例えば、合格可能性70%で志望校の倍率が1.1倍だった場合、110人受験して不合格するのは10人だけです。合格可能性70%が出ていれば、不合格の10人に入る可能性は低いでしょうから、合格できる確率は十分に高いといえるでしょう。

志望校の倍率が2倍の場合は、受験者の半数が合格、半数は不合格になってしまいます。しかしながら、C判定・D判定の受験者も受験していることを考えると、B判定の受験者が合格できる可能性は十分に高いといえるでしょう。

しっかりと対策したうえで、前向きな気持ちで志望校合格を目指しましょう。

7-3. 合格可能性40%〜60%(C判定)の場合

合格可能性40%〜60%(C判定)は、A判定・B判定より合格可能性は低いものの、今後の努力次第では合格圏内を狙える範囲です。

例えば、合格可能性50%の場合、合格可能性50%の人たちが受験した場合、半数は合格し、半数は不合格になるということを示しています。100人なら50人は合格します。

志望校の倍率が1.1倍や1.2倍の場合には、100人中83人〜91人程度は合格するということなので、努力を怠らなければ、合格の可能性は十分にあることがわかるでしょう。

一方で、志望校の倍率が2倍の場合、受験生100人中、合格できるのは50人です。模試の結果がC判定の場合、ギリギリのラインであることがわかります。しかしながら、実際に試験を受けている人がD判定以下の受験生ばかりであれば合格は可能です。合格するかどうかは、他の人の成績によっても左右されるため、一概には言えないのです。

ただし、合格可能性50%の志望校の倍率が3倍、4倍となってくると、上位33%や上位25%に入る必要が出てきます。合格のためには当日までにかなり成績を伸ばす必要があるでしょう。

7-4. 合格可能性20%〜40%(D判定)の場合

合格可能性20%〜40%(D判定)は、合格する確率が低いといえる結果です。中学1年生・2年生の模試ならまだ挽回のチャンスがありますが、できればC判定は目指したいところです。

例えば合格可能性30%の場合、合格可能性30%のまま志望校を受験した場合、100人中30人しか合格できないということを表しています。

しかしながら、志望校の倍率が低ければ、十分合格の可能性はあるでしょう。例えば、倍率が1.1倍の場合、不合格となるのは100人中たった9人なのです。100人中91位まで入れば良いので、合格できる可能性はかなり高いでしょう。

一方、志望校の倍率が2倍、3倍となってくると、合格できる確率は低くなってきます。できれば、受験前までにC判定のラインを目指し、併願校も用意していくなどの対策を取ることをおすすめします。

7-5. 合格可能性20%以下(E判定)の場合

合格可能性20%以下(E判定)は、もっとも低い判定結果となり、合格できる確率が今のままだとかなり低いことがわかります。

志望校の倍率が1倍や定員割れならば合格できる可能性はありますが、足切り点数が設定されている高校の場合、足切りで不合格となることもあるので注意しましょう。

ただし、模試を受けたタイミングが中学1年生・中学2年生の前半など、まだ本番の筆記試験までに時間がある場合には、E判定でも十分に挽回できます。しっかり勉強しましょう。

本記事では、高校受験の倍率について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

▼高校受験における倍率とは


・倍率 = 受験する人の数 ÷ 募集定員
・もっと簡単にいうと「〇人に1人が合格する」という意味
・10倍なら「10人に1人」が合格する、4倍なら「4人に1人」が合格する
・公立で1.1~1.5倍程度、私立で2~4倍程度が一般的


▼倍率には志願者倍率・受験倍率・実質倍率の3種類がある


・応募した人÷定員(例:1.98倍)
・試験を受けた人÷定員(例:1.92倍)
・試験を受けた人÷合格者(例:1.78倍)


▼高校受験の倍率についてのよくある疑問と答え


・倍率が高い方が難易度が高い?→一概にそうとは言えない
・倍率が何倍以上だと難しいですか?→一概には言えない
・倍率が4倍なのですが必要な偏差値はいくつですか?→倍率だけ見てもわからない
・倍率が1倍未満(定員割れ)なら絶対合格できる?→不合格になる場合もある


▼高校受験の倍率の確認方法


・高校ごとの倍率は、各高校のホームページに掲載されている
・公立高校の場合は、都道府県のホームページにまとめて掲載されている


高校受験の倍率はあくまで参考程度に考えて、倍率が高くても合格できる実力を身に付けることが大切です。

倍率だけでなく偏差値や模試の合格可能性などを参考に、どうしたら志望校に合格できるか考えてしっかり対策していきましょう。