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高校受験・入試

高校受験の偏差値とは?偏差値60は上位何%?仕組みを丁寧に解説

高校受験で重要な指標となる「偏差値」とは、試験を受けた集団の中で自分がどれくらいの位置にいるかを示す数値のことです。

偏差値50が真ん中で、偏差値70なら「偏差値が高い」、偏差値30だと「偏差値が低い」などと表現されます。

そもそも偏差値というモノサシが利用される理由は、平均点や点数分布が異なるテスト間の成績を比べることができるからです。

「今回のテストは難しかった」「簡単だった」のような条件を平らにして、母集団(全受験者)の中での自分の立ち位置を把握できるのが偏差値です。

この記事では、理解するのが難しい「偏差値とは何か」を噛み砕いてわかりやすく解説していきます。後半では、偏差値を知る方法や活用の仕方も併せて説明します。

「偏差値が何を示しているのか、わかりそうで分からない…」という方はぜひこの記事を最後まで読んで、正しく理解していきましょう。

高校受験においての「偏差値」とは、試験を受けた集団の中で自分がどれくらいの位置にいるかを示す数値のことです。

偏差値50が平均であり、偏差値50よりも低ければ平均以下、偏差値50よりも高ければ平均以上となります。この偏差値の数字を見ることで、自分の成績がいいのか悪いのかを判断する尺度になるのです。

例えば、偏差値40なら平均より下であることがわかり、偏差値60なら平均よりも成績が良いことがわかります。

また、自分の偏差値がわかることで、志望校ごとの偏差値と比較して、「どの高校を目指すか」を決める判断材料にすることもできます。

例えば、受験までのリミットにもよりますが、偏差値が60の生徒さんは「偏差値63〜65の高校を目指そう」と判断できます。一方で、偏差値が40の生徒さんが偏差値63〜65の高校を目指すには、相当の努力が必要になります。

「偏差値が高い」「偏差値が低い」といったときに、どのような意味があるか詳しく解説していきます。

先ほども解説した通り、偏差値50がちょうど真ん中になります。そのため、偏差値50よりも低ければ平均以下、偏差値50よりも高ければ平均以上となります。

一般的には、偏差値はおおむね25〜75程度の範囲内になることがほとんどです。

※理論的には偏差値は上限も下限もなく、偏差値0や100、場合によってはマイナスになる可能性もあります。しかしながら、そのような極端な数値になるには、100人中99人が0点、1人だけが100点を取ったなどの特殊なケースです。

一般的には、高校受験においては、偏差値60以上で「偏差値が高い」、偏差値40より下だと「偏差値が低い」と言われることが多いでしょう。

偏差値がとても高い70以上
偏差値が高い60以上70未満
偏差値が少し高い55以上60未満
偏差値が普通45以上55未満
偏差値が少し低い40以上45未満
偏差値が低い40未満

なお、「偏差値が高い」「偏差値が低い」は、属しているコミュニティによっても変わることがあります。

市立の中学校で「偏差値60は高い」と言われたとしても、トップレベルの難関中学校では「偏差値60はたいしたことない」と言われるかもしれません。環境や母集団によって定義が変わるので、注意しましょう。

ここまでで「偏差値60だと、普通よりは高め」「偏差値40だと、普通より低め」ということは理解できたでしょう。しかし、「偏差値60ってどのくらいすごいの?」という体感をイメージできるところまでは至っていない方が多いのではないでしょうか。

そこで、ここからは、偏差値ごとに「上位何%なのか」、「1000人の場合、何位ぐらいの成績になるか」を解説していきます。

偏差値ごとに、最上位からの割合、受験者が1,000人の場合の順位をまとめたのが以下の表です。

偏差値最上位からの割合1,000人中の順位
800.13%1.3位
750.62%6.2位
702.28%22.8位
656.68%66.8位
6015.87%158.7位
5530.85%308.5位
5050.00%500.0位
4569.15%691.5位
4084.13%841.3位
3593.32%933.2位
3097.72%977.2位

例えば、偏差値が80の場合、上位0.13%のとても優秀な成績であることがわかります。受験者が1,000人の場合、1位の方のみ偏差値80を得ることになります。

一方、偏差値が60というと、上位15.87%に入っていることがわかります。受験者が1,000人の場合、158.7位の人が偏差値60になります。これも、かなり良い成績を取っているイメージが想像できるでしょう。

このように、偏差値ごとに1,000人中だと何位ぐらいかを知ることで、その偏差値がどのくらいに位置しているのかイメージが湧きやすくなるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。

ここからは、「偏差値はどうやって決まるのか」の部分を解説していきます。

少々内容が難しいため、仕組みを詳しく理解したいという方だけお読みいただければと思います。難しければ次の章へ読み飛ばしても構いません。

4-1. 平均点の異なるテスト間の成績を比べられる

例えば、あるテストで、英語が90点、数学が70点だったとします。偏差値ではなく点数だけで比較してしまうと、「英語の成績が良く、数学の成績が良くない」というふうに見えてしまいます。

しかし、英語の平均点が90点、数学の平均点が40点だとしたらどうでしょうか。この場合、実際には「英語は平均点並、数学の成績は平均よりもかなり良い」ということがわかります。

このように、テストの平均点が異なる場合、点数だけ見ても成績が良かったのか悪かったのかは判断できません。

以下の画像のように、平均点や点数分布によっては、取得した点数がかなり異なっていても「偏差値は同じ60」と表現されるケースがあるのです。

一方、偏差値は、「平均点との差」も加味して算出されます。そのため、自分がそのテストで「平均点より良かったのか悪かったのか」をベースにした成績がわかります。

平均点が高いテスト(例えば90点)と、平均点が低いテスト(例えば40点)を比べると、平均点が高いテストのほうが偏差値は低めに出ることになります。

4-2. 点数分布の異なるテスト間の成績を比べられる

偏差値は、平均点との差だけでなく、「テストを受けた集団全体の得点のばらつき」も加味した成績がわかります。

例えば、英語と数学の2つのテストで、Aさんがどちらも70点を取り、どちらも平均点が60点だったとします。この場合、同じような偏差値になるかというと、実はそうではありません。

平均点60点のテストで70点を取ったという事実は一緒でも、得点分布によって偏差値には差が生まれます。上記のイラストの例では、英語の方は偏差値60ですが、数学は自分よりも点数が高い人が多いため偏差値は少し下がって57.7です。

このように、偏差値があると、そのため、自分がそのテストで「平均点より良かったのか悪かったのか」だけでなく、「他の人を含めた得点の分布の中でどの位置になるか」を加味した、正確な成績を把握できるのです。

ただし、どのテストを受けるのか、どの母集団か、などによって、偏差値は変わってきます。例えば、母集団のレベルが高いテストを受ければ、自分の偏差値は低く出てしまいます。

例えば、高校受験と大学受験を比較すると、大学受験の母集団の方が相対的なレベルが高い(本気の人が多い)ため、大学受験の方が偏差値は低めに出ます。高校偏差値が60の場合、大学偏差値は50〜55ぐらいと言われています。

ここまで説明した通り、偏差値を見ることで、母集団の中での現在の自分の立ち位置を把握できます。

立ち位置を知ることで、志望校に対してどの程度足りていないのか、既に合格圏内にいるのかなどを確認できます。

自分のテストの点数だけ見ても、他の人と比べてどうなのかまではわかりません。そのため、偏差値を把握して対策する必要があるのです。

この後は、偏差値をどうやって知るのか、そしてどう活用するのかなど実用的な内容を解説していくので、引き続き参考にしてみてください。

ここまで、高校受験でよく話題になる「偏差値とは何か」を詳しく解説してきました。ここからは、自分の偏差値を知る方法について解説します。

結論から言うと、高校受験における偏差値を正しく知りたい場合には、全国模試や都道府県ごとに特化した大規模な模試を受けるのがおすすめです。

学校のテスト結果からも偏差値を出すことはできますが、学校内での偏差値を出してもあまり意味がありません。高校受験はその地域の受験生全員がライバルとなるため、ある程度大規模なテストを受ける必要があります。

例えば、首都圏では、進研Vもぎ、新教研W合格もぎ、神奈川全県模試、北辰テストなどが有名です。

地域の大規模なテストを受けて、自分の正確な偏差値を知っておきましょう。

難関高校を志望校にする場合、志望校に特化した判定模試を実施している塾もあります。そうした判定模試を定期的に受けるのもおすすめです。

最後に、模試などで自分の偏差値がわかったら「そのあと何をすればいいのか」について解説していきます。

7-1. 教科ごとの得意・不得意を把握する

模試を受けたら、試験後に受け取ることができる「個人別成績表」を見て、自分の偏差値がどのくらいか確認します。

受ける模試によって成績表に記載される内容は異なりますが、教科ごとに現在の偏差値を確認できることが多いはずです。

教科ごとに偏差値を見比べて、どの教科が得意なのか、逆にどの教科が不得意なのかをしっかり確認しましょう。

例えば、上記の例では、5教科の通算の偏差値は60ですが、数学・英語・理科は60に達していません。この3教科を積極的に伸ばしていくことで、さらに高い偏差値を狙っていけるでしょう。

また、目標とする偏差値に到達するには何点必要だったのかを分析し、不正解となった問題を確認して、同じミスを繰り返さないように対策しましょう。

7-2. 志望校を選ぶ時の指標にする

自分の偏差値と「各高校の合格基準偏差値」を照らし合わせれば、志望校や受験校を選ぶ時の参考になります。

一般的には、自分の偏差値からプラスマイナス3~5の偏差値の高校を志望校にするのがスタンダードと言われています。

例えば、偏差値が60の生徒さんは、合格基準偏差値が55~65の高校を志望校にすると良いでしょう。

受験までの期間がまだある場合には、今後偏差値が変わってくる可能性もあるため、行きたい高校を目指して偏差値を伸ばしていくのがおすすめです。

例えば、湘南ゼミナールでも、中学3年生の7月模試から12月模試で偏差値を11伸ばして(56→67)横浜サイエンスフロンティア高校に合格した実績や、偏差値を5伸ばして(69→74)横浜翠嵐高校に合格した実績などがあります。

偏差値はあくまで参考として、本当に行きたい高校に合格するための対策を考えていきましょう。

本記事では「高校受験の偏差値」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

▼高校受験における偏差値とは


・試験を受けた集団の中で自分がどれくらいの位置にいるかを示す数値のこと
・偏差値50よりも低ければ平均以下、偏差値50よりも高ければ平均以上
・自分の成績がいいのか悪いのかを判断する尺度になる


▼偏差値が高い・偏差値が低いとは


・偏差値がとても高い:70以上
・偏差値が高い:60以上70未満
・偏差値が少し高い:55以上60未満
・偏差値が普通:45以上55未満
・偏差値が少し低い:40以上45未満
・偏差値が低い:40未満


▼高校受験における偏差値を知るには模試を受けよう


・学校内での偏差値を出してもあまり意味がない
・全国模試や都道府県ごとに特化した大規模な模試を受けるのがおすすめ


▼自分の偏差値がわかった後にすべきこと


・教科ごとの得意・不得意を把握する
・志望校を選ぶ時の指標にする


高校受験の偏差値は、自分の立ち位置を理解し、志望校を選ぶ時の指標にできる数字です。定期的に模試を受けて、少しずつ目標に向かって偏差値を上げていきましょう。