湘ゼミコラム

大学受験・入試

「東京大学を目指す理由」/データでひも解く志望動機と進学選択制度

2020.09.17

東京大学(以下、東大)では1986年から「学生生活実態調査」を実施されています。その調査内容から実際に東大に入学した人達の志望動機や、東大の特徴ともいえる進路選択制度(学部、学科)関するデータを詳しくご紹介します。

※2018年11月下旬~12月下旬に実施された東京大学の「学生生活実態調査」結果をもとに見ていきます。

興味のある専門分野を見極めて
学部、学科を選択できるメリット

東大生を対象とした「東大を目指した志望動機」の調査結果では、「社会的評価が高いから」が最も多く50.6%、次いで「入学後に学部の選択が可能だから」44.1%と回答しています。 図1:2018年「東京大学 学生生活実態調査結果」より抜粋

※複数回答(3つまで選択)、回答者数を分母

この調査結果を過去5年間に遡った場合でも、数値に変動はあるものの動機の順位については変わらずとなっています。

東京大学に通う学生が大きな魅力として挙げる、入学後に学部を決められる「進学選択制度」いわゆる「進振り*」が上位となる理由には、高校生のうちから”将来に生きる専門的な力を身に着けるために自分はどんな学部へ行ったらいいのか”と悩む方が増えているともいえるのではないでしょうか。

実際に、東大生の調査結果について時系列での変化をみてみると、「学部学科を決めていない」学生が増える傾向がみられます。

*進振りとは…
「進学振り分け制度」の略称。大学1年生と2年生の途中までの成績をもとに、3年生からの進学する学部・学科を決定する進学選択制度です。2年生の前期までは駒場キャンパスで基礎的な知識と方法を学び、その後「進学選択」を経て2年生後期で進学が内定した学部・学科の基礎となる専門科目を学びます。

図2:2018年「東京大学 学生生活実態調査結果」より抜粋

東大入学時には学部、学科を決めていなかった学生が5割を超える結果となっています。2年生前期までは幅広い分野の基礎的な知識を学び、進学選択の際には入学時に思いもしなかったような学部学科へ進むこともあり得るといいます。

9割超の東大生が希望の進路へ

進学選択制度により、希望通り・ほぼ希望通りに進学決定(内定)したと回答する学生は92.9%と非常に多い結果となっています。


図3:2018年「東京大学 学生生活実態調査結果」より抜粋

東大の特徴的な制度ともいえる進学選択制度(進振り)では、文科一類~三類、理科一類~三類のように類ごとの募集が行われます。
入学から2年間の前期課程は、学生全員が駒場キャンパスの教養学部に所属し、Sターム(2年前期)までの成績をもとに、3・4年生で進学する学部、学科が決定します。

東大2年生の「進学選択」スケジュール

進学選択制度では、第一段階~第三段階までの選考があります。前段階で内定すると次の段階の進学選択の対象とならないものの、第一段階の内定前までのみ進学志望先の修正が可能となっています。

大学2年の前期課程からスタートする進学選択制度のスケジュールを見ていきます。

進学選択手続きのスケジュール

6月下旬:第一段階 定数発表、進学志望・不志望の登録

7月上旬:第一段階 進学選択志望集計発表

8月上旬:第二段階 進学志望登録
※2Sセメスター(前期)/2S2ターム成績表発表(進学が可能となる条件を満たしているか否かが発表される)
※第一段階の進学志望登録の変更が可能

8月下旬:第一段階進学内定者発表、第二段階定数発表、内定者ガイダンス日程発表

9月上旬:第二段階進学内定者発表、第三段階定数発表、第三段階進学志望登録

9月下旬:第三段階内定者発表、内定者学部ガイダンス

1月上旬:進学内定辞退届受付

3月上旬:進学決定者発表
※2Aセメスター(後期)/2A1・2A2タームの成績により、前期課程終了に必要な単位数が足りない場合は留年となり、学部選択の内定は取り消されます。

進学選択制度の「指定科類枠」「全科類枠」とは?

東大の進学選択制度では、各学部、学科の受け入れに「指定科類枠」「全科類枠」という2つの枠があります。

「指定科類枠」は特定の科類ごとに振り分けられた定員枠で、「全科類枠」は科類の制限なく振り分けられた定員枠を意味します。基本的には指定科類枠をもつ科類から受けた場合は、全科類枠よりも進学しやすいといわれています。

進学選択制度では、一部の学科を除いて文系から理系への理転、理系から文系への文転も可能である為、入学から進学選択をするまでの1年半の期間で興味がある分野を幅広く学び、希望する学部、学科へ進学ができるよう大学生になってからも日々の努力が欠かせません。

※進学選択制度は複雑な制度のため、進学を希望する学部・学科の最新情報を公式ホームページなどで必ずご確認ください。